- 高校野球
2016.09.13 18:35
【THE INSIDE】高校野球の秋季大会…スリルと面白さ、楽しみ方
高校野球の現場は本当に忙しい。ついこの間、夏の甲子園が終了したと思ったら、地方紙などはすでに秋季大会の話題が掲載されている。当然といえば当然のことだが、高校野球では夏の大会で敗退すると、翌日から新チームとして1・2年生だけのチームがスタートする。
甲子園の大会がある一方で、ほとんどの学校は夏の地方大会で敗退しているので、実質7月には新チームが始動している。また、甲子園に出場するような強豪校の多くは、甲子園で戦うチームとは別に1・2年生だけで戦えるチームを作っている。
そうでなくては、来るべき秋に向けて戦えないのだ。それに早いところでは8月中にに秋季大会が始まるので、ゆっくりもしていられない。
■来春のセンバツを目指して新チームが動きだす
全国制覇を果たした作新学院のある栃木県でも、すでに県大会が始まって来春へ向けての戦いが始まっている。一方、北海道では夏の準優勝校の北海が札幌地区で敗退して、センバツは絶望的になったと報じられている。
秋季大会は、新チームとして最初の公式戦の舞台となる。勝ち上がっていけばセンバツ出場がかかってくる。そういう意味では一つひとつが大事な戦いということにもなる。
やはりチームとしてのキャリアが浅いだけに、ひとつのプレーで大きく局面が変わることもままある。そして、観ている側としては「あ~~」と拍子抜けするような凡プレーやミスもある。しかし、それらを含めて高校野球であり、ことに秋季大会などは、そんなことが起きることもスリルと面白さともいえるのだ。
東京都ブロック予選、錦城vs共栄学園の試合開始挨拶
東京都では24の会場に分かれて、ブロック予選が行われている。それぞれ各学校のグラウンドがメイン会場となっている。9月は台風などの影響もあり天候が読みにくいこともあるので、日程調整も大変だ。
新チームの試合経験を多くさせようと、リーグ戦や敗者復活戦などを交えて予選を組んでいるところもあり、地区によって戦い方の事情が異なるのも秋季大会の特徴になる。
ただ、参加校が多くグラウンド事情の厳しい東京都は、予選も一本勝負のトーナメントとなる。1次ブロック予選でも、初戦で敗退すれば、年内の公式戦はそれで終わり。そういう意味では、大いにプレッシャーはかかるだろう。
■無名校で見つける才能
秋のチームは、まだまだ打撃力がついてきていないところが多い。それだけに投手がしっかりしていれば、ある程度は戦えるというのが多くの監督たちの意見でもある。
口の悪い人は「秋は貧打線でも勝てる」など言うが、チーム事情として投手は選手個々の素質や能力によるところもあるので、試合で通用するように作りやすい。そんな中で観るもうひとつ楽しみは、好投手の発見だ。甲子園には出場していない無名校と呼ばれる所にも、キチッと試合の作れる投手が現れることがある。そういう選手がピシッと投げていくのを目にすると、それだけでも得した気分になれる。
共栄学園の大西君は好投したが…
東京都第11ブロックの会場となった日大二グラウンドで行われた錦城と共栄学園の試合。1-0でリードしていた錦城が8回に共栄学園に追いつかれながらも、9回に二死走者なしから、ひとつの四球をきっかけにしてサヨナラ勝ち。共栄学園の大西君の好投に8回まで2安打だったが、最後に連打したのは見事だった。
どちらも野球ではあまり名の知られている存在ではないが(共栄学園は女子バレーボールの名門、春日部共栄とは兄弟校)、引き締まった好試合だった。こういう試合に、小まめに現場に足を運ぶことの喜びを改めて甘受する。