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プロ野球

金本・阪神が“走塁改革”に着手 プロスプリントコーチを招へい


 “超変革”というスローガンを掲げて挑んだ金本・阪神の1年目は、4位という結果に終わった――。

 新人王となった高山や、育成から這い上がった原口といった“新戦力”の台頭はあったものの、指揮官が我慢しながら起用した若手たちが、その期待に応える活躍を披露したかと問われると、“超変革”という言葉ほどのインパクトは残せなかったようにも思う。

◆ 顕著な課題
 今シーズンの成績を振り返ると、目につく数字がいくつかある。チーム打率は中日と並んでリーグ最下位(.245)で、チーム本塁打も90本と、中日の89本に次ぐ少なさ。積極的に若手を起用した影響もあるが、打撃面に課題を残したことは間違いない。

 そして、もう1つ目を引いたのが“盗塁”の少なさだ。打てないのであれば、「足を使った攻撃」がより大事になってくる。

 しかし、今季の盗塁数はリーグ最少の「59」。盗塁刺の数も少なく、企画数自体がそもそも少ない。ちなみに、今季のリーグ王者広島の盗塁数は、阪神の倍にあたる「118」。特にコリジョンルールが導入された今年は、1本のヒットで1点という状況を作り出す意味が大きかった。

◆ 走塁の変革へ
 そこで阪神は、今秋のキャンプに“走りのプロ”を招へい。今オフのFAで加入した糸井嘉男をオリックス時代に指導し、浦和の槙野をはじめとする多くのプロサッカー選手の指導も行っている“プロスプリントコーチ”の秋本真吾氏を高知に呼び寄せ、走塁面の変革に着手した――。

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 正直なところ、成人してから“走る”ことが劇的に変わることはないと思っていた。しかし、秋本氏は「今回のキャンプだけでも(30メートルの距離が)0.3~0.4秒は速くなった」と話し、「技術的にまだまだ伸ばす余地がある」と主張する。

 盗塁という面では、先のアジアウインターリーグで盗塁王となった横田にかかる期待が大きいが、秋本氏が最も驚いたのは、江越のスピードだった。「スピードはダントツ。筋の発揮量も凄いし、技術的な部分もすごく良かった」と述べ、「変化でいうと板山さんも良かった」と続けた。

◆ 「怖いと思ったらダメ」
 そして、秋本氏は練習の中であることを感じていたという。

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「ピッチャーがマウンドに立って投げるという状況だと、空気感というか雰囲気が全然違った。練習のときの感覚と、本番の感覚ってずれちゃうとたぶんダメなんですよ」

「甲子園に満員のお客さんが入って、勝つか負けるかの状況のときに、怖いなと思ったらダメ。コーチ側から、盗塁をイメージさせ、試合を想定させるように働きかける必要性を感じている」

では、そのためにどうすれば良いのか――。秋本氏は、「速くなったという実感を持たせないといけない」と話す。「速くなっているし、絶対に大丈夫という状態を作らないといけない」

◆ 垣間見えた手ごたえ
 来季、走塁面に関するファンの期待を一身に背負うことになる秋本氏は、「ダメだったら甲子園で僕が野次られることになるかもしれない」と苦笑いする一方で、「感覚の理論みたいなのを選手間や僕と選手の間で共有できるようになったのが大きい」と手ごたえも口にした。

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 何かと金本監督の“選手起用”が取りざたされる阪神だが、2017年は選手の起用法とともに、各選手の“走塁”面にも注目したい。

 この記事の中に出てきた話や秋本氏による秋季キャンプの裏話などは、今月28日(水)よる9:00~10:00CSスポーツチャンネル『GAORA SPORTS』で放送する「トラツボ 特別編2016~タイガース超変革を徹底検証~」の中で語られている。元タイガースのエース、藪恵壹氏がデータを駆使して「タイガースは超変革したのか!?」を徹底的に検証していく虎党必見の番組だ。

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