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横浜商大の大型新人・飯田琉斗が150km/h!佐々木正雄監督と最後の下克上へ【神奈川大学野球】

 9月1日に開幕した神奈川大学野球秋季リーグの第1週2回戦が2日、横浜スタジアムで行われ、春に勝ち点0で最下位に沈んだ横浜商科大が8対4で関東学院大に連勝。今年初の勝ち点獲得の立役者となったのは1年生の大型右腕だった。

これまで阪神・岩貞祐太投手ら多くの好選手をプロ・社会人に輩出してきた佐々木監督(写真右)も飯田の素質には太鼓判を押す

 今季の横浜商科大は特別なシーズンだ。就任35年目の佐々木正雄監督が今季限りでの勇退を発表。春は最下位に沈み入替戦を経験しただけに選手たち、そして監督の気迫は例年以上だ。

 そんな闘将が「プロに行ける素材」と語るのは、ともに向上高(神奈川)出身の右腕である川村駿平投手(2年)と飯田琉斗投手(りゅうと/1年)だ。前日の開幕戦では川村が4失点完投勝利し、飯田は「先輩が勝ってくれて気持ちが楽になりました」と試合に臨んだ。
 すると初回から飯田は、187cmの長身から140km/h台後半のストレートを勢いよく投げ込んでいく。先頭打者の安打と連続四球で無死満塁のピンチを招いたが、「夏の成績は一番良かっただけに開幕投手になれず悔しかった」と話す強心臓のルーキーが怯むことはなかった。自己最速150km/hをマークするなどして追い込むと149km/hのストレートで二者連続三振を奪う。さらに続く打者を148km/hのストレートでレフトフライに打ち取りピンチを脱した。
 2回以降は、スライダーなどの変化球を上手く織り交ぜる嘉門裕介捕手(3年・敦賀気比)との息の合ったコンビネーションで関東学院大に反撃を許さない。7回にも満塁のピンチを招いたが、ここでも146km/hのストレートを思いきりよく投げ込んで併殺に抑え、拳を強く握った。

8回に1点を返され、9回は関東学院大打線に捕まり完投こそならなかったが、なんとしてでも佐々木監督の有終の美を飾らせたいチームにとって重要となる開幕カードで試合を作り、今年初の勝ち点をプレゼントした。

 春は開幕投手を任されながらも0勝2敗に終わった悔しさを糧に、今夏は球威の向上に努めた。
トレーニングに加えて、全幅の信頼を置く捕手の嘉門に夕食前と後に体重をLINEで送ってチェックしてもらうなどして4kgの増量に成功。8月23日に行われたオープン戦の亜細亜大戦で完封して自信をつけ、この日も次々と剛球を投げ込んでいった。
この活躍に佐々木監督は「(球はもちろん)内面の成長がすごい」と称え、「商大復活と書いてくれ」と終始上機嫌だった。また飯田も「監督さんを最後は男にしたいです」と力強く宣言。
 選手たちと佐々木監督の最大にして最後の下克上を目指す戦いは、これからさらに熱を帯びていきそうだ。

「球に力強さがあり角度もある。春から楽しみにしていましたが、急激にここまで良くなるとは驚きました」と楽天・山田潤スカウトも舌を巻いた

★横浜商科大vs関東学院大2回戦
横浜商科大 000030320=8
関東学院大 000000013=4
【商】飯田、藤村-嘉門
【院】福本、阿部、武石、岡野、亀里-辻村(裕)、柳瀬、渡部(淳)
本塁打:関東学院大・河西(8回ソロ)
※横浜商科大2勝

文・写真=高木遊