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キャリア屈指の数値叩き出した指標も イチローが42歳で見せた“進化”とは


メジャー史上30人目の通算3000安打を達成したマーリンズのイチロー外野手は今季、打撃成績の多くの数値を昨年から向上させた。米メディアも“V字回復”といった表現で大ベテランの復活を大きく取り上げたが、具体的にどの数字が良くなったのか。中には、42歳にしてキャリア屈指の高いレベルに達した項目もあった。

■“V字回復”の2016年、イチローは何がすごかったのか

 メジャー史上30人目の通算3000安打を達成したマーリンズのイチロー外野手は今季、打撃成績の多くの数値を昨年から向上させた。米メディアも“V字回復”といった表現で大ベテランの復活を大きく取り上げたが、具体的にどの数字が良くなったのか。中には、42歳にしてキャリア屈指の高いレベルに達した項目もあった。

 シーズン中にも注目されたのが、四球数の増加だ。今季は365打席で30四球。打席数はこの5年間で最少で、四球率8.2%は2002年の9.3に次いでキャリア2番目に高い数値だった。

 ボールゾーンの球すらヒットにしてしまうイチローは、ヒットが多い代わりに四球が少ないことで知られているが、数字上は“モデルチェンジ”したとも言えような結果が残っている。当然、キャリア通算の四球率6.0を大きく上回っている。出塁率.354は2011年以降では最高値で、特に1番打者として出場した試合は出塁率.427と高い数字を残した。

 一方で、三振率11.50%はキャリア13番目の数字。全盛期に比べれば大きな数字だが、最近3年間では最も良かった。これを四球の割合と比較して算出したBB/Kは0.71。メジャーでも重視される指標の1つだが、2008年(0.79)以来の高い数値で、16年のキャリアでも5番目にあたる。ナ・リーグ全体でも、今季350打席以上の打者では11位だ。今季のイチローは、打ち取りにくい打者であったということが言えるだろう。

■最も際立ったラインドライブ率の高さ

 また、最も際立っていたのが、ラインドライブ率、いわゆるライナー率の高さだ。打球をどれだけしっかりと捉え、強い打球が飛んでいたかを示す数字でもあるが、今季の27.6パーセントは、なんとキャリア最高。キャリア通算の21%を大きく上回る。

 逆に、グラウンドボール率、いわゆるゴロ率は48.3%。これはキャリアで最も低い数値となっており、通算の55.4%を大きく下回る。16年のメジャー生活で、40%台すら初めてとなっている。キャリアで最も高かったのは2003年の63.1%で、大きな差がある。

 イチローに内野安打の割合が多いことは周知の事実だが、今季は鮮やかなライナーで外野に運ぶヒットも目立った。ラインドライブ率の上昇、グラウンドボール率の下降も「モデルチェンジ」を示す数字と言えるのではないだろうか。

 その他、盗塁は今季12度試みて10度成功。83.3%と相変わらず高い成功率を叩き出している。キャリア通算でも81%の成功率を誇るイチローの盗塁技術に衰えは見えない。

 イチロー自身、日米通算安打でピート・ローズのメジャー記録(4256安打)を超えた時には、記者会見で「3年間ちょっとしんどかったですね」と昨年までのことを振り返り、「そういう時期あるよねっていう感じに今はなってるかな。(昨年までとの違いは)まあいろいろありますよ。いろいろというのは大変便利な言葉で、便利に使ってますけど。ありますよ。要因は」と明かしている。

 来季も4番手外野手として起用されることになるが、多くの数値を再上昇させた背番号51の存在は、チームにとっても心強い限り。イチローであれば、43歳で更なる“進化”を見せてくる可能性も十分にありそうだ。

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