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プロ野球

神戸文也(立正大/オリックス育成2位指名)球児だった母の夢を託され、プロの世界へ

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神戸文也(かんべ・ふみや)
出身地: 群馬県高崎市
球歴:塚沢リトルジャイアンツ(軟式)→高崎ボーイズ(硬式)→前橋育英高→立正大→オリックス
身長・体重(ポジション):182cm・75kg(投手/右投右打)
最高球速:151km/h
球種:ストレート、フォーク、カーブ、スプリット

 高校以降で、「エース」の称号を得たことはないが、182cmの身長から投じる最速151km/hのストレートなど素質を評価され、オリックスから育成ドラフト2位指名を受けた。
 前橋育英高では2年春にセンバツ出場も自身はベンチ外。先発した同期の高橋拓巳投手(桐蔭横浜大/日本生命入社予定)らの姿をアルプススタンドから眺めるしかなく「悔しい気持ちしかないです」と振り返る。高校2年秋からは、メンバー入りし、外野手や控え投手を務めたが、最後までエースナンバー獲得はならなかった。
 3年春の関東大会で好投した姿が、立正大関係者の目に止まり、日本一経験もある同大へ進学したが、先輩投手や同じくオリックスに入団する黒木優太投手(ドラフト2位指名)らの影に隠れ、4年間で12試合の登板に留まった。

 それでもこの4年間の成長はとても大きかったと神戸は語る。
「坂田(精二郎)監督は自主性を大切にしてくださるので、自分のやりたいトレーニングができて、充実した4年間でした。澤村拓一さん(巨人)の中央大時代の話をテレビで聞いたり、(3学年上でプロに進んだ)吉田裕太さん(ロッテ捕手)のコツコツ積み重ねる姿を見て、こういう努力をしなければいけないんだと感じました」
 ウェイトトレーニングでは、「重たいものを上げる」ことに意識を置きすぎてしまって高校時代は故障に繋がったこともあったが、大学では「重さにはこだわらず、フォームを意識して回数を重ねるようにしました」と、思考も深くなった。また、登板機会が少なくてもネットスローやシャドウピッチングなど自主練習も怠らなかった。

★母に託された夢
「神戸は気が優しく、まだ弱いところがあるので、逃げられない厳しい環境のプロで揉まれた方がいいと判断しました。それだけの能力もある子なんでね」
 4年間指導してきた坂田監督は、現状を見つめながらも、期待を持って神戸にエールを送る。
 また、家族の中でも特に強い思いを託すのは、母・知子さんだ。知子さんはもともと野球をしており、中学時代に日本一となったほどの腕前だ。先日は、父・正弘さんも交え3人でキャッチボールをし、「私が女で叶えられなかったプロ野球選手の夢を託す」と背中を押された。
「まずは1日でも早く支配下登録をされるよう、1日1日を大切にしていきたいです」
 まだ全貌を現していない母譲りの高い素質が開花すれば、母とオリックスファンに大きな喜びを与えることになるだろう。

文・写真=高木遊