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魂の復帰登板、神けん制…快進撃DeNA支えた「陰の両腕」


DeNAの今季最多本塁打といえば筒香嘉智、今季最多勝利といえば山口俊。ここまでは熱心な野球ファンなら知っている。だが、DeNAの今季最多登板といえば、誰か。そうなると、すぐに名前は出てこないかもしれない。6年目の右腕・須田幸太である。

■62登板の須田はCSで魂の復帰登板、全直球勝負

 DeNAの今季最多本塁打といえば筒香嘉智、今季最多勝利といえば山口俊。ここまでは熱心な野球ファンなら知っている。だが、DeNAの今季最多登板といえば、誰か。そうなると、すぐに名前は出てこないかもしれない。6年目の右腕・須田幸太である。

 2015年までの5年間で計71登板の男が、今季は実に62試合に登板した。自己最多登板で、CS初進出を果たした陰の主役の一人と言っても過言ではないだろう。敗戦処理からスタートした今シーズン。5月から勝ちパターンの一角を任されるようになると、主に7回を任され、三上朋也、山崎康晃とつなぐ「勝利の方程式」に欠かせない存在となった。

 176センチと決して大きくない体から強気に繰り出す直球主体の投球で、打者をねじ伏せる。その勝ち気な姿勢は投球だけではない。9月24日の巨人戦(横浜)。投球中に左太もも裏の肉離れを負い、負傷降板した。

 当初は今シーズン中の復帰は絶望的とみられていたが「ケガをした次の日からCSで復帰することだけを考えていた」と強い執念で、広島とのCS最終ステージ第3戦目から復帰。いきなり3点リードの8回2死満塁から登板すると、新井をオール直球勝負で斬り、最終ステージ初勝利に導いた姿はファンの心を打った。

 ブルペン陣を支えたのは須田だけではない。9年目の田中健二朗もその一人だ。

■61登板の田中はCSで“神けん制”、契約更改でも高い評価

 07年の高校生ドラフト1巡目の左腕は勝ちパターンに食い込み、相手に左打者が並ぶ試合を中心に7回を須田とともに担った。シーズンでは須田に次ぐ61試合登板。なかでも、強烈なインパクトを残したのが、巨人とのCS第1ステージ第3戦だ。

 互いに勝てば最終ステージ進出の大一番、同点の9回無死一塁で代走で登場した「盗塁のスペシャリスト」鈴木尚を巧みなけん制で刺した。このビッグプレーで流れを呼んで延長戦を制し、広島行きを決めた。

 同じブルペン陣では本拠地の登板のたびに「ヤスアキジャンプ」でファンを沸かせる守護神・山崎康が脚光を浴びる。野手においては筒香、梶谷、ロペスらがスポットライトに照らされた。注目度に違いはあれど、縁の下で支えた左右の両腕の奮闘も彼らと同じくらい、価値があった。

 それを示すように今オフ、ともに2500万円という年俸の大幅アップを勝ち取り、須田は4400万円、田中は4300万円で契約更改。球団から最大限の評価を受けた。

「リリーフでも頑張れば、評価してもらえる」とは須田の言葉だ。光と陰でいえば、陰の存在。それでも、19年ぶりのリーグ優勝を目指す来シーズン、2人の存在は欠かせないものになるだろう。

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