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オリックス吉田正が“スターへの登竜門”で驚異の成績 打撃部門で1位独占


台湾プロ野球の中華職棒(CPBL)は2012年からウインターリーグを開催している。映画「KANO」で知られる嘉義付近から南側、島の下から3分の1ほどが「熱帯」と分類されるこの国に、日本、韓国、さらには勃興著しいヨーロッパ選抜チームを呼び込み、各国における球界の将来を担う若手に鍛錬を積ませている。

■オリ吉田正が台湾ウインターリーグでずば抜けた成績

 12月14日。台湾の中部、台中。暖かい場所とは聞いていたものの、この日は風が強く、上着を着ないと日陰では寒く感じてしまうほどではある。しかし、日なたにいると半袖でもよいのではないかと感じるほど暖かく、体が十分に動かせるほどのこの気候を一つのアドバンテージに、台湾プロ野球の中華職棒(CPBL)は2012年からウインターリーグを開催している。

 映画「KANO」で知られる嘉義付近から南側、島の下から3分の1ほどが「熱帯」と分類されるこの国に、日本、韓国、さらには勃興著しいヨーロッパ選抜チームを呼び込み、各国における球界の将来を担う若手に鍛錬を積ませている。

 前人未到の2年連続トリプルスリーを達成した東京ヤクルト・山田哲人選手、今季自身初の2桁勝利を挙げた阪神・岩貞祐太投手も、それぞれ台湾でのウインターリーグで実戦を積み、確かな結果・実績へとつなげた。「実戦こそ、上達のための最高の練習」であり、選手の成長に大きくつながることが周知できたこともあり、今年はパ・リーグから北海道日本ハムと埼玉西武(毎年オーストラリアに選手を派遣)を除く4チームが、イースタン選抜、ウエスタン選抜に分かれ、さらにセ・リーグから派遣された選手たちと共にチームを編成してウインターリーグに臨んでいる。

 今年は、楽天・オコエ瑠偉選手、千葉ロッテ・平沢大河選手、オリックス・吉田正尚選手、さらにはセ・リーグからは東京ヤクルト・廣岡大志選手など、将来のチーム、リーグ、球界を担うことが期待される選手たちが多く派遣されている。まさに「金の卵」、将来のスター候補たちが集うことから、CPBLが運営する各ソーシャルメディアをはじめ、台湾メディアでも彼らの動向は毎日記事や動画として配信・報道されている。

■打率は2位に1割以上、打点も12打点近くの差をつけた吉田正

 また、今年からパ・リーグの試合はFOXスポーツ台湾でも週10試合以上放送されていることもあり、特にパ・リーグの選手たちの名前、プレーぶりは台湾の熱心な野球ファンにも知られている。実際、12月14日に訪れた州際国際棒球場では、日本の球団のユニフォームを身にまとって日本人選手に声援を送る台湾のファンも見受けられた。

 台湾の球界関係者も、「昨年に比べて日本人の来客が増えている」という実感をしているという。通常の公式戦のような数の来場者が集うわけではないが、昨年の4チームから今年は6チームに増え、さらに大規模ではないながらもサイン会などのイベントも行われるなど、訪れた人を楽しませようという工夫もある。オフシーズンながらも「野球観戦を楽しめる」場を提供することで、台湾だけでなく、日本からも熱心な野球ファンを呼び込もうと挑戦を続けている。

 ウインターリーグは18日をもって約3週間にわたる日程を終了した。今年は、オリックス・吉田正が18試合に出場して打率.556、30安打、6本塁打、29打点でいずれも各部門でトップ。特に打率は2位に1割以上、打点も12打点近く突き放すなど、ずば抜けた成績を残して「MVP」の筆頭として挙げられている。昨年のウインターリーグMVPに輝いた岩貞は、今年、前述の通りローテーションの一角を担うまでに成長。すでに吉田正はルーキーながら10本塁打を放つ活躍を見せたが、実戦を通じてさらなる自信をつかむことで、今後の大きな飛躍が期待される。

 イチロー選手、松坂大輔投手、ダルビッシュ有投手、田中将大投手、そして大谷翔平選手。次から次へ、まさしく「雨後の筍」のように才能あふれる選手たちが出てくるパ・リーグに、異国でさまざまな経験を積み、たくましくなったであろう選手たちが、また新たな風を呼び込んでくれるに違いない。そしてその選手たちへの視線、ブレイクへの期待は、日本国内からだけではなく、海をまたいだ台湾からも注がれている。

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

「パ・リーグ インサイト」編集部

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