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「現役で比較対象はイチロー」 米メディアが病床のレジェンドの偉大さ回顧


今季メジャー史上30人目の通算3000安打を達成したマーリンズのイチロー外野手は、現役引退後には有資格1年目での米国野球殿堂入りが確実視されるほどの実績を残している。通算3053安打を誇るロッド・カルー氏は現役時代、日本が誇る安打製造機を“凌駕”するレジェンドだったと米メディアが取り上げた。

■手術を受けたレジェンドを特集、「カルーのようにヒットを打つ選手はいない」

 今季メジャー史上30人目の通算3000安打を達成したマーリンズのイチロー外野手は、現役引退後には有資格1年目での米国野球殿堂入りが確実視されるほどの実績を残している。ただ、通算3053安打を誇るロッド・カルー氏は現役時代、日本が誇る安打製造機を“凌駕”するレジェンドだったと米メディアが取り上げた。ESPNが「ロッド・カルーのようにヒットを打つ選手は誰もいない」と特集している。

 カルー氏はパナマ出身の元内野手。現役時代にツインズとエンゼルスで活躍し、1969年から83年まで15年連続で打率3割超え(70、79年は規定打席未満)という偉業を成し遂げた。首位打者7回に加え、1977年には打率.388を記録。1991年に野球殿堂入りを果たしている。

 71歳となったカルー氏は、15日に心臓と腎臓の移植手術を受けたことが米メディアで報じられた。球界から無事を祈る声が病床のレジェンドに届く中、ESPNではカルー氏の現役時代の偉大さを振り返っている。

 記事では、数々の偉業に加え、相手ピッチャーに合わせて打席での構えを変える独特な打撃スタイルについても紹介。そして、カルー氏の現役時代を知らない若い世代に説明するため、イチローを例に持ち出している。

■イチローは比較対象も「カルーは打率で比較すると、より素晴らしい打者だった」

「もしも、あなたが若すぎてカルーを覚えていないというのなら、彼は優雅なプレイヤーだった。非常に巧みな選手で、まるでオーケストラを指揮するようにバッターボックスを支配していた。現役選手で最高の比較対象者はイチロー・スズキになるだろう。カルーはより多くの四球を選び、キャリア通算打率で比較すると、より素晴らしい打者ではあったが」

 カルー氏はメジャー生活19年間で通算打率は.328、四球は1018を記録している。一方、2001年に27歳でメジャーの扉を叩いたイチローの通算打率は.313、四球は626という成績だ。ヒット数では、イチローがメジャー16年で3030本、カルー氏は3053本、出塁率は.356に対して.393となっている。

 また、記事では、打者の指標の一つであるOPS+(出塁率と長打率から算出)でイチローの最高のシーズンは2004年の130という数値だったが、カルー氏はキャリア通算でこれを上回る131を記録していることを紹介。「彼が打球をいかに巧みに操るのかを示す。イチロー・スズキのピーク時を凌駕するシーズンが19年も存在したのだ」と強調している。

 「安打製造機」と呼ばれた病床の名手の偉大さを示す物差しとして、特集で取り上げられたイチロー。メジャー17年目のシーズンを迎えるベテランが現在、球界のヒットメーカーの象徴的存在となっていることは確かなようだ。

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