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ヤ軍のチャプマン獲得に渦巻く賛否両論 「必要なかった」「本気度を示した」


今季カブスを108年ぶりのワールドシリーズ制覇に貢献した左腕獲得をめぐり、ヤンキースは現在若手中心のチーム作りに移行している途中であったため、米メディアでは賛否両論の議論が浮上している。

■ヤンキースの補強に地元メディアは「後悔するものになる」と批判も

 ヤンキースは15日(日本時間16日)、カブスからフリーエージェントとなっていたアロルディス・チャプマン投手と、2020年まで5年契約を結んだことを発表した。米メディアの報道によると、契約はリリーバーとして史上最高額となる5年8600万ドル(約101億3400万円)。3年目のシーズン終了後には選手側にオプトアウト(契約破棄)する権利が付くという。

 今季カブスを108年ぶりのワールドシリーズ制覇に貢献した左腕獲得をめぐり、ヤンキースは現在若手中心のチーム作りに移行している途中であったため、米メディアでは賛否両論の議論が浮上している。

 否定派の中でも最も辛辣だったのは、ESPNのヤンキース番記者アンドリュー・マーチャンド氏で「リリーフ投手への史上最高額の契約はヤンキースが後悔するものになる。すぐに優勝を狙うための補強であり、ヤンキースは再建の途中にあるのに。オールスターに3度選ばれているクローザーのベタンセス投手がいるのだから、補強の必要はなかった」と批判する記事を掲載。また、地元紙「ニューヨーク・ポスト」では「ヤンキースは大金を注ぎ込んだが、最重要課題であった先発投手の穴は空いたままだ」と疑問を投げかけた。

■肯定派は「再建の途中でも時々、戦う意思を示す必要がある」

 一方で肯定派の意見では、地元紙「レコード」のボブ・クラピッシュ記者がコラムを執筆し、「チャプマンはペイカット(減額)を受け入れてもヤンキース復帰を望んでいた。彼のようなタレントを獲得できる機会はそうない。正しい補強だった」と擁護した。また、地元紙「ニューズ・デー」のデビッド・レノン記者は記事で「来季への本気度を示した。ヤンキースはたとえ再建の途中でも時々、戦う意思を示す必要がある」と指摘。読者に「勝ちながら育てる」ことが常勝球団の宿命であることを思い出させた。

 84勝78敗という成績だった今季は、1点差の試合で24勝12敗と大きく勝ち越した。強力なブルペンを構築することで不安定だった先発陣をサポート。ブライアン・キャッシュマンGMは、田中将大、CC・サバシア、マイケル・ピネダに続く先発2枠を若手に競わせる考えを示しており、来季も同じ戦略でプレーオフを目指す意欲が伺える。一方で、経営陣の意向が強く働いたとの見方もされており、テレビの視聴率獲得のためにスター選手が欲しかったという本音もありそうだ。

 3年後に再び勝ち続ける常勝軍団を作り上げるプランが進行中のヤンキース。ファンの間でもまだまだ議論が尽きないようだが、チャプマンがシーズン後に契約破棄できる2019年あたりに、その答えが出ることになりそうだ。

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