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野球選手の持つ“力” オフの社会貢献活動で子供たちに残すインパクト


シーズンオフに入り、選手たちはつかの間の休息を取っているが、野球をプレーすることだけがプロの仕事ではない。イベント、テレビ収録、慈善事業など、その活動は多岐にわたる。ファンサービスの一環といえるが、ここではプロスポーツ選手が持つ“力”を考えてみたい。

■巨人・内海の「ランドセル基金」今オフは107個のランドセルを贈呈

 シーズンオフに入り、選手たちはつかの間の休息を取っているが、野球をプレーすることだけがプロの仕事ではない。イベント、テレビ収録、慈善事業など、その活動は多岐にわたる。ファンサービスの一環といえるが、ここではプロスポーツ選手が持つ“力”を考えてみたい。

 例えば、巨人。チームには球団が進める社会貢献活動「G hands」プロジェクトというものがあり、シーズン中からサインを書き入れたプレートをチャリティーオークションに出品し、その収益を障害者スポーツや社会福祉の支援に充てている。

 個人の活動に目を向けてみると、内海哲也投手は2009年に「ランドセル基金」を設立し、今年は宮崎市内の児童養護施設を訪問。2012年まではその年の奪三振数、2013年以降はその年の投球回数分のランドセルを贈呈。その数はすでに1000個を超え、今年は投球イニング数に合わせて107個のランドセルが各地の子供に届くことになっている。

 菅野智之投手は、神奈川県相模原市の相模原警察署を訪問。1日署長に任命され、制服姿を披露した。周囲を驚かせたのはそれだけではなく、子供の頃に交通事故に遭ったことを明かし、自らの体験を踏まえながら、交通安全の大切さについて、子供たちに訴えた。

 亀井善行外野手、澤村拓一投手は、東京都内にある闘病中の児童と家族が滞在する「ドナルド・マクドナルド・ハウス」を訪れ、子供たちと触れ合った。サイングッズと寄付金を贈呈した2人は、来季の活躍を約束。プロ野球選手に掛けてもらった言葉や共に過ごした時間は、子供たちの心に刻まれただろう。

 長野久義外野手は、4月の熊本地震で被災した南阿蘇村を慰問した。地元の人はテレビでしか見られない選手に感激。地元中学野球部の練習に参加した長野は、子供たちと一緒に走り回った。地震の影響で熊本で開催予定の公式戦が中止になったこともあり、喜びもひとしおだった。

 村田修一内野手は未熟児で生まれてきた子供と家族を支援。神奈川県内の医療センターを訪問し、今年放った安打数×1万円にあたる165万円を新生児医療支援の「ささえるん打基金」として寄付した。

■選手と触れ合うかけがえのない時間が、子供たちの生きる力をサポート

 巨人以外にも、楽天の銀次内野手が仙台市内で病院や「ドナルド・マクドナルド・ハウス」を訪問。中日のルーキー・小笠原慎之介投手は大島洋平外野手らとともに名古屋市内の病院を、日本ハムナインはシーズン中に北大病院を、阪神・鳥谷敬内野手もキャンプ中に沖縄でこども病院を訪問するなど、12球団はもちろん、OBも含めた球界全体に慈善活動の輪は広がっている。

 選手によっては2年、3年と続けて同じ場所を訪問することもある。毎年の訪問で子供たちが心身ともに成長する姿、初対面の時に野球を始めた子供たちの成長に気付き、目を細めることもしばしば。また、かつての訪問時に交わした約束を懸命に守っている子供たちの存在を目にし、自分が与えた影響力の大きさに気づくこともあるという。

 病院では、医師や看護師が「○○君のあんな元気な姿を見るのは久しぶり」と話したり、「ずっと元気がなかったのに○○選手の登場で一変した」と語ることも多い。中には、選手から掛けてもらった一言で、手術を怖がっていた子供が勇気を出して手術を受けたり、不治の病に冒されながら当初の診断より1か月以上も長く生き抜いた例もあるそうだ。

 触れ合う時間は、ほんの一瞬かもしれない。それでも子供たちにとっては、人生に大きなインパクトを残すかけがえのない時間。触れ合った選手のことは一生忘れずに、来季以降もその選手のプレーを目で追っていくだろう。野球に限らず、子供たちにとって雲の上の存在、スーパーヒーローでもあるスポーツ選手らの持つ“力”は想像以上に大きい。グラウンド上で懸命にプレーする姿を見せ続けると同時に、グラウンドを離れても子供たちにとって手本となる憧れの存在であり続けてほしい。

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