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侍ジャパン

多和田、呉は来季へ期待大 西武ルーキーは7選手が1軍経験、明るい材料に


■3年連続Bクラスの不本意なシーズンも…ルーキーが台頭

 3年連続Bクラスに沈むという不本意なシーズンに終わった西武だったが、そんな中、明るい材料となったのが、ルーキーたちの台頭だった。全10選手のうち、7選手が1軍の舞台を経験。早い段階で1軍レベルの中での自らの課題を自覚できたことは、今後の成長に大きく役立つはずだ。

 ドラ1の多和田は、序盤こそ苦しんだものの、18試合に先発し7勝をマーク。野田、南川ら即戦力としての期待もかかった社会人出身組も、台所事情が厳しい中継ぎ陣の中で、それぞれ個性は発揮した。また、野手では呉念庭がポテンシャルの高さを見込まれ重用。激戦必至の遊撃手レギュラー争いの有力候補に躍り出た。

 一方で、ドラ2の川越は、故障の連続で2軍戦でも7試合登板止まり。また、高卒の藤田も新人合同自主トレの早々に離脱。シーズン中にケガも発症し、1試合の登板のみ。いずれも不完全燃焼に終わった。

 明暗がはっきりと分かれる形となったルーキー10人の1年目を改めて振り返ってみたい。

◯多和田真三郎投手

 ドラフト1位で富士大学から入団。大学時代に肩を痛めた影響で、慎重にスタート。1軍でビューは5月14日の日本ハム戦となった。その初登板では、3者連続押し出しなど4失点。以後、コントロールを気にしすぎるあまり、持ち味である思い切りの良さが消え、立ち上がりに課題を作ることとなった。それでも、8月11日の日本ハム戦でプロ初完封勝利を収めてからは、完全に自身の投球を取り戻し、7戦5勝0敗。最終的にも7勝5敗と貯金を作った。来季はローテーションの柱として、フル稼働に期待がかかる。

◯川越誠司投手

 北海学園大学からドラフト2位で入団。大学時代から筋トレで鍛え上げた体が自慢だったが、早々に怪我で離脱。周囲が徐々に1軍に上がり始めた焦りから、「治りかけては投げ、結果、ケガを繰り返す、の連続でした」。最終的には、2軍戦で7試合を投げ、6イニング1勝1敗、防御率6.00。今季の苦い経験を生かし、来季は戦力として貢献したい。

■本田圭佑はシーズン後に海外で経験積む

○野田昇吾投手

 西濃運輸からドラフト3位で入団。身長167センチと小柄ながら、その投げっぷりの良さに高評価。投げるごとに信頼を勝ち取っていき、22試合、18回1/3を投げて、4ホールド、防御率3.93の成績を残した。貴重な左腕中継ぎとして、来季の貢献度がチームにも大きく影響しそうだ。

○愛斗(大瀧愛斗)外野手

 花咲徳栄高校からドラフト4位で入団。高卒新人ながら、チーム事情もあり、2軍戦74試合に出場できるという好環境に恵まれた。打率は.201と低迷したが、5本塁打とパンチ力があることはアピールできた。負けず嫌いの性格も、成長を促している。秋季練習、キャンプでは、辻新監督から直接指導を受けるなど一目置かれており、今後の飛躍・台頭に大きな期待が持てる逸材だ。

○南川忠亮投手

 JR四国からドラフト5位で入団。今季ルーキーの中でもっとも早く1軍昇格を果たした。中継ぎとして4試合4イニングを投げ、被安打3、失点1、防御率2.25だった。1軍登録も早かったが、5月7日に抹消されて以後、昇格していないだけに、来季は1軍定着が至上命題だ。

○本田圭佑投手

 東北学院大学からドラフト6位で入団。9月9日に1軍初登録され、同11日のソフトバンク戦で中継ぎでデビュー。2回を1奪三振、無失点に抑えた。その後、18日の楽天戦では初先発も経験したが、2回2/3を4失点で黒星と、結果を残すことができなかった。それでも、シーズン終了後に『第1回WBSC U-23ワールドカップ日本代表』に選出され、2試合に先発。1勝0敗1失点の好投で優勝に貢献した。11月からはオーストラリアのウィンターリーグに参加しており、海外経験を来季に生かしたい。

■呉は遊撃の定位置奪取なるか注目

○呉念庭選手

 第一工業大学からドラフト7位で入団。入団直後から、元プロ野球選手の父親から受け継いだ野球センスを2軍首脳陣は揃って絶賛していた。実際、2軍戦で打率.311、打点34、出塁率.413、14盗塁と結果を出し、1軍に昇格。1軍では、打率.194、打点11、盗塁1と数字は残せなかったが、出場43試合中41試合で先発起用された経験は、大きな収穫となった。来季、本格的に遊撃の定位置奪取なるか。大きな注目が集まる。

○國場翼投手

 第一工業大学からドラフト8位で入団。カーブに安定感がある右腕投手。イースタンリーグでは22試合に登板し3勝4敗2セーブ、防御率4.15だった。8月には1軍昇格も経験し、中継ぎとして2試合に登板。いずれも無失点に抑え、アピールはできた。この1年で、直球の球速も上がり、伸び幅は同期の中でも1、2を争う。秋のフェニックスリーグでも評価を上げており、来季のさらなる成長が楽しみだ。

○藤田航生投手

 弘前工業高校からドラフト9位で入団。新人合同自主トレ開始間もなく怪我で離脱し、さらにシーズン中も左肘を負傷。イースタンリーグで1試合の登板のみと、故障に泣いた1年目となった。「コントロールとキレ、変化球の精度」を武器としているだけに、来季はシーズン通してマウンドに立ち、持ち味を発揮したい。怪我をしない体作りが最大のテーマだ。

○松本直晃投手

 独立リーグ・香川オリーブガイナーズからドラフト10位で加入。大学卒業後に野手から投手へと転身し、プロ入りを果たした異例の経歴の持ち主。イースタンリーグでは28試合に登板し3勝4敗、防御率4.50で、9月には1軍昇格も果たした。中継ぎとしてわずか2試合の登板に終わったが「1軍での課題が浮き彫りになったし、逆に、自信がついた部分もあった」。コントロール、まっすぐの球威、そして空振りを取れる変化球を磨くことの重要性を学んだ。

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