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CS初進出の裏で…DeNAは番長引退、FA右腕や打率1割台前半の助っ人も退団


球団創設5年目で初のクライマックスシリーズ(CS)進出を果たしたDeNA。CS最終ステージで広島に敗れ、18年ぶりの日本一はならなかったが、セ・リーグの台風の目となった。

■「ハマの番長」三浦が引退、四半世紀の現役生活に幕

 球団創設5年目で初のクライマックスシリーズ(CS)進出を果たしたDeNA。CS最終ステージで広島に敗れ、18年ぶりの日本一はならなかったが、セ・リーグの台風の目となった。

 打撃2冠に輝いた筒香が4番に君臨し、脇を固めるロペス、梶谷とともに打線を牽引。桑原、倉本、宮崎、戸柱ら若い戦力が芽吹き、投手陣でも同様に石田、今永らが台頭した。就任1年目のラミレス監督は選手への信頼と緻密なデータ分析を柱としてタクトを振るい、初出場のCSでも巨人を破って最終ステージに導く手腕を発揮した。

 一方、これまで球団を支えてきた選手がユニホームを脱ぎ、今季限りで別れを告げた選手もいる。今回は、その功績を辿る。

◯三浦大輔(引退)
プロ25年目。通算535試合登板、172勝184敗、防御率3.60

 この男を置いて、横浜の歴史を語れないだろう。「ハマの番長」こと三浦が、四半世紀にわたる現役生活に幕を下ろした。現役最年長の今季は7月11日の中日戦での初登板で4回6失点と打ち込まれたが「相手投手に嫌がられる存在になりたい」と磨いてきたバットで24シーズン連続安打を放った。これが、のちに「投手による連続シーズン安打記録」としてギネス記録に認定。投手としては2度目の登板となった9月16日の阪神戦で5回途中2失点で勝ち負けつかず、「勝てなくなったら辞めようと決めていた」との信念に基づき、この日の夜にラミレス監督らに引退する意向を伝えた。

 シーズン最終戦の9月29日・ヤクルト戦で迎えた引退登板ではベンチ入り選手全員が「18」のユニホームをまとってプレー。6回1/3を10失点と壮絶に打たれ、23シーズン連続勝利はならなかったが、最後は渾身のストレートで雄平を空振り三振に斬り、涙でマウンドを去った。引退セレモニーでは「これからも三浦大輔はずっと横浜です。ヨロシク!」と番長らしい挨拶。08年にはFA宣言して阪神への移籍を思い悩んだこともあったが、横浜一筋で現役を全うした。来年は球団を離れ、「外から野球を勉強したい」としているが「将来的にまた戻って来られたら」と指導者転身にも意欲を示している。

■山口は涙のFA宣言から巨人移籍、井手と柳田は球団職員転身

◯山口俊(FA宣言→移籍)
プロ11年目。通算367試合登板、39勝44敗111セーブ、防御率3.29

 ラミレス監督が「エース」と呼んだ背番号11はFA権を行使してDeNAを去った。05年高校生ドラフト1巡目で横浜に入団した山口は抑えも務め、通算111セーブを挙げた。14年に先発再転向し、今季チームトップの11勝をマーク。球団からは来季も先発の柱として期待をかけられていたが、シーズン後に今季取得した国内FA権の行使を表明。「できることなら残りたかったけど、野球選手である以上、評価も大事にしたかった」と涙ながらに語った。宣言残留を認めるDeNAと獲得に乗り出した巨人、中日との争いになったが、最終的に巨人入りを決めた。来季はライバルとしてDeNAの前に立ちはだかることになる。

◯井手正太郎(戦力外→引退)
プロ15年目、通算338試合出場、打率.236、15本塁打、89打点

 ソフトバンクに在籍していた10年4月に吉川輝昭との交換トレードで横浜に入団。打撃力を武器にチームを支えた。15年には前半戦首位ターンの立役者となるなど、ファンにとって記憶に残る選手だった。11試合の出場にとどまった今オフに戦力外となり、合同トライアウトを受験したが、他球団からのオファーは届かず、球団職員としてDeNAに残ることになった。

◯柳田殖生(戦力外→引退)
プロ11年目。通算191試合出場、打率.213、5本塁打、18打点

 13年に中日から戦力外通告を受け、DeNAに入団。移籍1年目にはキャリア最多の74試合に出場。遊撃を本職として内野すべてのポジションを守れるユーティリティーぶりでチームを支えてきた。今季も23試合に出場したが、2度目の戦力外通告。入団前のクラブチーム時代は建築現場でアルバイトしながら野球を続けた苦労人。まじめで実直な人柄が評価され、井手と同様に球団職員としてDeNAに残ることが決まっている。

■期待のロマックはわずか1年で退団、米国へ逆戻り

◯内村賢介(戦力外)
プロ8年目。通算596試合出場、打率.246、1本塁打、97打点、100盗塁

 石川ミリオンスターズからBCリーグ出身者初のNPB選手として07年ドラフトで楽天に入団。12年6月に藤田一也との交換トレードで横浜に移籍した。持ち前の俊足で移籍1年目は18盗塁をマーク。以降は代走や守備固めなど、地味ながらチームを献身的に支えてきた。今季はプロ9年目で初めて1軍出場ゼロに終わり、戦力外通告。合同トライアウトを受験したが、現在まで獲得は決まっていない。

◯ジェイミー・ロマック(戦力外→移籍)
入団1年目。通算30試合出場、打率.113、0本塁打、2打点

 外国人でも球団を去る者がいる。なかでも、ロマックは開幕前に高かったファンの期待を裏切る形になってしまった。米マイナー通算200発の看板をひっさげ、年俸7500万円のクリーンアップ候補として加入したが、開幕から10試合で2安打どまりで2軍行き。結局、71打数でわずか8安打、本塁打も出ず、シーズンを通して1軍で日本の野球に適応できないまま、レギュラーシーズン直後に帰国。11月にパドレスとマイナー契約を結んでいる。

 こうしてみると、在籍の年数、活躍の度合いに差はあれど、チームのために全力を尽くしたのは同じ。プレーを続ける者、白球に別れを告げた者、それぞれが横浜の地で得た経験を糧にして、新天地での活躍に期待したい。

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