BASEBALL GATE

プロ野球

本人もビックリ ホークス今宮、大幅増1億4500万円査定のなぜ


驚きを隠せなかった。12月12日。ヤフオクドーム内に設置された記者会見場で困惑していたのは、ソフトバンク不動の遊撃手、今宮健太。「『え!』って思いました。現状維持か、大台(1億円)に乗るくらいだと思っていたので。こんなに頂いていいのかと」と率直な心境を明かした。

■5500万円増の今宮、打率.245も評価された貢献度とは

 驚きを隠せなかった。12月12日。ヤフオクドーム内に設置された記者会見場で困惑していたのは、ソフトバンク不動の遊撃手、今宮健太。「『え!』って思いました。現状維持か、大台(1億円)に乗るくらいだと思っていたので。こんなに頂いていいのかと」と率直な心境を明かした。

 この日行われた契約更改交渉。その席で球団から提示されたのは年俸1億4500万円という額だった。今季の9000万円から、軽く大台を超える5500万円の大幅アップだった。

 今季の今宮は137試合に出場したが、打率は.245に終わり、3割には遠く及ばなかった。その一方で10本塁打、56打点はプロ7年目でキャリアハイとなった。

「2割4分5厘ですよ?」と本人も言っていたように、こと打率に限って言えば、決して満足いく数字ではない。ただ、昨季までの打撃と、今季の打撃には明らかな違いがあった。

 開幕から2割前後をウロウロとしていた打率だが、5月下旬から急激な上昇カーブを描いた。自身最長となる20試合連続安打をマークするなどし、6月29日のロッテ戦(ヤフオクD)終了時点では打率.273。シーズン後半は、オフに手術した右肘の痛みの影響もあって打率は下降してしまったが、踏み出す左脚を回転の軸にする「テニス打法」に活路を見出し、覚醒の感を漂わせた。

■遊撃手として4年連続ゴールデングラブ賞受賞の偉業

 最終的に自己最高の56となった打点も、6月27日のロッテ戦(東京D)で40打点を超えて41打点に。チーム内では内川、松田、柳田に次ぐ早さでの40打点到達。1、2、8、9番という打点を生みにくい打順に座っていたことを考えれば、これは上々の数字である。本塁打を打った10試合は10戦全勝。得点、勝利に直結する打席が多かった。

 また、打撃成績だけで貢献度を計ってはいけないのもまた、今宮という選手である。その最大の武器は、12球団ナンバーワンと評価される守備にある。幅広い守備範囲と、明豊高時代に154キロを投げた強肩。その守備力で、安打となりそうな多くの打球をアウトに変えてきた。

 今季は4年連続のゴールデングラブ賞を獲得。パ・リーグの歴代遊撃手で4年連続で同賞を獲ったのは72年から78年まで7年連続で受賞した大橋穣(阪急)まで遡る。西武時代の松井稼頭央や、ロッテの小坂誠といった過去の名ショートすらも成し遂げられなかった偉業なのである。

「5年間やってきたことを評価していただいた」という今宮は、09年のドラフト1位で入団。当時、遊撃のレギュラーだった川崎宗則のメジャー移籍に伴って、3年目の12年に1軍に定着。126試合に出場してレギュラーの座を奪うと、その後も143、144、142、137試合とコンスタントに出場してきた。

■評価された「5年の積み重ね」、営業面での貢献度も大

 過酷な遊撃のポジションで大きなケガをすることなく、5年間ポジションを守ってきた。他球団を見渡しても、現在の遊撃手で5年間レギュラーを張り続けているのは、巨人の坂本勇人くらいだろう。

 ソフトバンクには、3年やってこそ真のレギュラーという考えがある。現に柳田悠岐はレギュラー定着後3年目となる15年にトリプルスリーを達成し、オフに9000万円から2億7000万円という驚異のアップを勝ち取っている。

 三笠杉彦球団統括本部副本部長は「5年間の積み重ねによって、彼がチーム内で得た信頼感に対する評価」という。今宮が定位置を奪って5年目。真のレギュラーとしての評価も加味されたということだろう。

 チーム1、2のグッズ売り上げを誇り、営業面での貢献度も、ファンからの人気も高い。打率だけに着目することなかれ。もちろん、資金力豊富なソフトバンクというのも背景にはあるが、日常的に彼を見ている鷹ファンからすれば、この評価、決して高過ぎるということはないのではないだろうか。(金額は推定)

関連リンク