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プロ野球

“走塁のスペシャリスト”鈴木尚広 不安を自信に変えた原前監督の言葉とは…


◆ 原前監督の言葉で自信を持つ

 『ニッポン放送 ショウアップナイターCONFERENCE 2017』が12日、東京都内で行われ、今季限りで現役引退した鈴木尚広がトークショーに参加した。

 20年間の現役生活にピリオドを打った鈴木は現役時代、“走塁のスペシャリスト”と呼ばれ、通算200盗塁以上の選手では盗塁成功率歴代1位の.8289を誇る。試合終盤に欠かせない“走塁のスペシャリスト”だが、プロ入り当初は「キャンプで大きな選手を間近にしたとき、とんでもない世界に来たと思いました。体の差、技術的にも違う。不安で仕方がなかった」と振り返る。

 その不安を、自信に変えたのが原辰徳前監督の言葉だったという。原監督が就任した02年に鈴木も一軍で起用され始めた。「日本シリーズも(一軍に)いたんですけど、(原監督と)トイレで一緒になりました。その時に、『お前の足は信頼しているから。思い切りやってくれ』と言われました。その瞬間に自信というか、求められている、期待されているんだなと思いました」。原監督の言葉に突き動かされ、その年の日本シリーズで2盗塁をマーク。プロとして生きる道が明確になった。

◆ 代走のスペシャリストとしてチームに欠かせない存在

 その後、センターのレギュラーに定着した時期もあったが、10年からは代走がメインに。試合終盤の大事な場面で登場し、相手バッテリーが“絶対に走ってくる”という警戒の中、何度も盗塁を成功させた。プロ19年目の15年には、監督推薦で自身初のオールスターにも出場。2試合に出場し、2盗塁を決めた。「20年間の中で、一番走りにくかった。代走で選ばれているわけですから、失敗したらかっこ悪いなと思っていました」と当時の心境を明かした。

 そして今季も、代走で10回の盗塁機会で成功率は100%。しかし、CSファーストステージ・DeNAとの第3戦、代走で途中出場するも、けん制タッチアウト。結果的に、あの場面が現役最後のプレーとなった。「やってしまったなと思いまして、どういう風にベンチに戻ればいいのかなと…すごく責任を感じました。勝負としては負けてしまったが、そこに対してしっかり悔いのないようにやってきた。相手を称えると思いました」と振り返った。

 プロ入り当初は“不安で仕方がなかった”と話したが、20年間の現役生活を終えて「積み重ねてやってきたことが、20年間現役生活を送ることができたと思う」と話す。現役通算228盗塁を記録した韋駄天は、静かにスパイクを置く。