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侍ジャパン

巻き返しを図るオリックス 16年は完全最下位&FA戦線でも惨敗


◆ 吉田尚を筆頭に楽しみな若手が豊富

 アジアウインターリーグに参戦中のオリックス・吉田正尚が、9日のイースタン選抜戦で豪快なソロ本塁打を放った。

 吉田正はウエスタン選抜の「4番・左翼」で先発出場。イースタンの先発投手・古川(楽天)が投じた2ボール1ストライク後の直球を見事に捉えると、打球はバックスクリーン右へ着弾。同大会待望の第1号が飛び出すとともに、11試合の出場で打率.531と格の違いを見せつけている。

 吉田の存在は2016年のオリックスにとって数少ない光明だ。チームは今季、オープン戦、交流戦、シーズン、ウエスタン・リーグとすべて最下位。今オフのFA戦線でも糸井の流出に始まり、日本ハム・陽の獲得も失敗に終わった。

 ただし若手に目を向けると、吉田を筆頭に若手の台頭が目をついた。高卒3年目の若月は、前年の5試合を大きく上回る85試合に出場。一方で9年目の伊藤は出番を大幅に減らしてしまったが、ともに20代が正捕手を争う状況自体がポジティブな要素。来季はよりハイレベルな争いでチーム順位を押し上げたい。

 難病から復帰した遊撃・安達、全試合出場を果たした二塁・西野の二遊間コンビも若く、まだまだ伸びしろがある。大城、宗は吉田とともにアジアウインターリーグで武者修行中で、BCリーグ・新潟アルビレックスから獲得したジョージも、二遊間のバックアップとして楽しみな素材だ。中堅のレギュラー候補では、来季高卒5年目を迎える武田に期待。10年のドラフト1位・駿太も、まだ守備固め要員で終わるには早すぎる。

◆ 戦力ダウンの2014年は、ソフトBと激しい優勝争い

 投手陣では左腕エース候補の松葉が、自己最多の132回2/3を投げ、7勝9敗、防御率3.26をマーク。3年目の吉田一は56試合登板で5勝2敗、防御率2.66の成績を残し、セットアッパー候補に名乗りを挙げた。

 ドラフト4位で入団した青山は、U23ワールドカップ、アジアウインターリーグの両大会に参戦し、安定した投球を披露。今秋のドラフトでは即戦力右腕・山岡(東京ガス)の一本釣りに成功し、2位でも前評判の高かった黒木(立正大)を獲得した。近年は新外国人、FA補強選手の不調が際立っているオリックスだが、安達、松葉、吉田一、吉田尚らに代表されるように、ドラフト1位選手はしっかり戦力になっている。

 李大浩、バルディリスが抜けた14年は、西、佐藤達ら若手投手陣の台頭があり、ソフトバンクにわずか2厘差の2位と善戦した。さらに交流戦初優勝を成し遂げた10年も、チームは前年最下位だったが、坂口、大引、後藤、T-岡田ら生え抜き野手がチームをけん引。阪神を戦力外となったバルディリスは加入1年目から118試合に出場し、打率.301、14本塁打、50打点と覚醒した。

 もともと若手が伸びる土壌があり、下馬評が低いシーズンほど飛躍する近年のオリックス。完全最下位後の2017年も、何かを起こしてくれるかもしれない。