BASEBALL GATE

プロ野球

大谷翔平が来オフにMLB行きを決断したらどうなる? 米メディアが解説


早ければ来オフにもメジャー挑戦に踏み切る可能性が浮上している日本ハムの大谷翔平投手。しかし、ここにきて大きな問題が浮上し、日米の関係者を困惑させている。

■マイナー契約&6年間FAになれず…ルールに「隙はない」

 早ければ来オフにもメジャー挑戦に踏み切る可能性が浮上している日本ハムの大谷翔平投手。しかし、ここにきて大きな問題が浮上し、日米の関係者を困惑させている。

 大谷の渡米を「阻む」と見られているのが、米大リーグ機構(MLB)と選手会の間で合意に達した新労使協定。来年23歳になる二刀流右腕は、「インターナショナル・ボーナス・プール」というルールの対象となるため、メジャー契約を結べない可能性が浮上したのだ。米ヤフースポーツの敏腕記者、ジェフ・パッサン記者は「なぜ現代のベーブ・ルースは数年後までMLBに来ないのか」と題した特集記事で、問題点を指摘している。

「インターナショナル・ボーナスプール」とは、国外の若手選手と契約する際に設けられている契約金額の上限。戦力不均衡や青田買いが起こらないためのルールで、上限を超えた場合には罰金も含めた罰則が規定されている。

 新労使協定では、支払える金額は475万ドル(約5億4000万円)から575万ドル(約6億5550万円)に設定。他球団とのトレード等で金額枠が動かせるが、上積みできる金額は最大で当初の金額の75%までだという。大谷の渡米時には、総額3億ドル(約342億円)の超大型契約となる可能性も伝えられていたが、それも不可能となる。

■当初、日本人選手は対象外とする見方もあったが…

 新たな労使協定が合意に達する前から、大谷が「インターナショナル・ボーナス・プール」の対象になることは指摘されていた。米野球専門誌「ベースボール・アメリカ」は先月上旬、今オフに二刀流右腕がメジャー挑戦に踏み切っても、マイナー契約しか結べないとする記事を掲載している。旧労使協定では、「インターナショナル・ボーナス・プール」の対象選手は22歳以下と定められており、今オフに移籍を決断すれば制約を受けるという内容だった。

 その記事では「オオタニは22歳であるため、彼と契約を結ぶチームは『インターナショナル・ボーナス・プール』の制約を受ける。23歳以上であり、プロ野球リーグで5年以上プレーしている選手には適用されない。オオタニは2017年以降、条件を満たすことになる」と指摘。大谷を「22歳のキューバ選手と同様に扱われるだろう」として「つまり、メジャーリーグ契約ではなく、マイナーリーグ契約のみが可能であるということだ」としている。

 それでも、大谷が今オフに移籍せず、7月に23歳になれば問題はないと思われていたが、今回合意に達した新労使協定では、対象年齢が22歳以下から24歳以下に引き上げられた。つまり、大谷は2019年までこの制約を受ける対象となった。当初、日本人選手は対象外とする報道もあったが、米メディアはウインターミーティングで大谷も例外ではないことを確認。改めて波紋が広がっている。

 では、大谷が来オフにメジャー挑戦を決断した場合、どのような状況になるのか。パッサン記者は、以下のように記している。

■「MLBに楯突く球団はどこにもいない」

「国際選手の契約のため、自動的にマイナー契約となり、FAとなるまでに6年間は球団に縛られる典型的なものになるだろう。球団が彼をリリースする口約束なども結べない。記されたルールは隙がなく、たとえ彼がどんなにいい選手でも、オオタニと契約しようとしてMLBに楯突く球団はどこにもいない」

 日本人選手がFAやポスティングでメジャー移籍する際に組み込まれる「契約満了でFAになる」というような“特別条項”は盛り込めないという。1年目はメジャーでプレーしても最低保証額の54万5000ドル(約6200万円)しか手に出来ず、6年間プレーするまでFAにはなれない。つまり、ポスティングでつかめるような大型契約も望めない。

 ただ、もし大谷が日本でプレーを続け、25歳以上になってからポスティングシステム(入札制度)で渡米することを決断すれば、その段階でFA選手と同じような破格の大型契約を結ぶことが出来る。この差はあまりにも大きい。

 来季年俸は2億7000万円で契約更改を行った大谷。来オフにメジャー移籍となれば、契約金は最大で上記の額を手にできるが、年俸はまさかの「2億円マイナス」からスタートを切ることになる。

 ウインター・ミーティングに来ていたら大物代理人のスコット・ボラス氏は、「とても難しい状況だ。世界最高峰のアスリートが我々の世界にやってくるということに対して、境界線がひかれている。世界最高峰の選手たちがこの地でプレーすることを許してはいない」と“足かせ”のような制度に憤りを見せた。今後、何らかの変化が出てくる可能性もあるのだろうか。

関連リンク