ロッテにサヨナラ勝ちし、喜ぶ中日・平田（右）と福田＝ナゴヤドーム【写真提供:共同通信社】

中日が延長10回裏に平田良介の内野安打に千葉ロッテ守備陣のエラーが絡み今季初のサヨナラ勝ち。先発・吉見一起が2回6失点の大乱調で序盤から劣勢を強いられるも、高卒2年目右腕・藤嶋健人の好リリーフが流れを変えた。

　3回表からマウンドに上がった藤嶋は、いきなり2者連続で三振を奪いながら四球と連打で満塁に。ここで3番・中村奨吾に痛烈なライナーを打たれるも、サードの正面に飛んだことが幸いした。続く4回は角中勝也から始まる攻撃を3者凡退。5回と⑥回はいずれも得点圏に走者を背負うも本塁は踏ませなかった。要因を挙げるとすればすべてのイニングで先頭打者からアウトを取ったことが大きかった。

　また東邦高時代に強打で鳴らした打撃でもチームに貢献した。3回裏の先頭打者で打席に立つと、カウント2ストライク1ボールからの4球目をセンター前に弾き返しプロ初安打。「追いこまれていたけど、ストレートに合わせて、振り負けずにしっかりスイングできたので良かったです」と記念の一打はアルモンテの内野ゴロの間に2点目のホームを踏んだ。

　藤嶋のテンポの良いピッチングは打線にも好影響。マウンドに上がっていた3回から6回まで味方打線が毎回得点を挙げてじわりじわりと追い上げ、延長10回の逆転劇へとつながった。藤嶋はこの試合を含む9試合の登板がすべて劣勢の展開だが、今後はもっと歓声を浴びる場面での起用が増えることは間違いない。先発抜擢か、それとも勝ちパターンへの昇格か――。それでも藤嶋は「自分に与えられたところでしっかり抑えることだけを考えています」と謙虚な姿勢を崩さない。“バンビ二世”として甲子園を沸かせたスターの今後の働きから目が離せない。