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FA、トレード、助っ人…“主役”は巨人、今オフの補強と強化ポイントは?


2017年シーズンのV奪回に向け、巨人はシーズンオフから積極的な補強を行っている。2015、2016年と2年連続でV逸。中堅が伸び悩み、その選手らを交換要員としながら、トレードも成立した。市場にならぶ投手から、先発、セットアッパーとウィークポイントを埋めてきた。ここまでの補強の動きとポイントを探ってみたい。

■ここまで激しい動き見せる巨人、大田らのトレードは1番の大きな衝撃に

 2017年シーズンのV奪回に向け、巨人はシーズンオフから積極的な補強を行っている。2015、2016年と2年連続でV逸。中堅が伸び悩み、その選手らを交換要員としながら、トレードも成立した。市場にならぶ投手から、先発、セットアッパーとウィークポイントを埋めてきた。ここまでの補強の動きとポイントを探ってみたい。

 1番の大きな衝撃となったのが、2008年ドラフト1位の大田泰示と左のセットアッパー候補だった公文克彦を放出し、日本ハムから2012年パ・リーグMVPの吉川光夫と若手の強打者・石川慎吾を獲得した交換トレードだった。

 巨人の今年の先発左腕は田口麗斗、アーロン・ポレダ、内海哲也、今村信貴らが務めた。しかし、今季活躍し、来年も計算できるのは10勝した田口のみ。先発投手が6人必要な中で、右3枚、左3枚をそろえることができれば、交互に起用ができて、相手にとっても脅威となる。吉川が入れば、左腕の層に厚みが増す。また、石川の持っている打撃の破壊力は十分。秋季キャンプ中に行われた実戦でも早速、本塁打を放つなど存在感を見せた。巨人の支配下選手では最年少の外野手。来年2年目を迎える重信慎之介らと若い力でチームを活性化させる狙いもある。

■マギー獲得でベテラン勢にも刺激、手薄だった代打の存在も脅威に

 外国人補強では楽天でも活躍した前デトロイト・タイガースのケーシー・マギー外野手と契約合意した。2013年の日本シリーズでは敵の主軸として活躍していた助っ人で、巨人が楽天入団前から注視していた存在だった。そのパンチ力で打線強化が見込まれる。

 問題はポジションだ。マギーは三塁と一塁が主戦場。サードには打撃復活の村田修一内野手、ファーストには阿部慎之助、ギャレット・ジョーンズらがいるため、マギーにレギュラーの補償はない。裏を返せば、村田、阿部、ギャレットにも同じことが言える。戦力の厚みが互いの刺激となり、チーム力を上げる狙いがある。この4人がうまく機能すれば、手薄だった代打の存在も脅威となる。

 FA補強ではDeNAから山口俊投手が加入する。巨人は今年、先発投手陣が低調だった。開幕からポストシーズンまで体が万全で、常に好調を維持した投手はいなかった。来年も支え合いながらやりくりしてくことになりそうだ。ただ、今年のように「先発がいない」と言われる状態にならぬように補強と育成を行っている。

 山口は今年、初めて2桁の11勝をマーク。1年しか勝てていない投手という見方もできるが、今季のチーム最多勝が田口の10勝だった巨人にとってみれば、来年も同様の活躍をしてくれれば、獲得した価値はある。

■森福には勝負どころの1イニング任せる?

 ソフトバンクからは森福允彦投手を獲得。長年、巨人を支えてきた左腕のセットアッパー・山口鉄也投手の勤続疲労が近年、目立ちはじめ、後釜探しに着手していたが、なかなか育ってこなかった。昨年の秋のキャンプからは日本ハムに移籍した公文や戸根千明などがその座を目指したが、結局、シーズンでは山口が使われた。2016年は9年連続60試合登板という偉業を残した一方で、自己ワーストの6敗。ホールド数も19個と1軍定着した2008年以降で最少だった。

 その山口の負担を軽減させるにふさわしいのが森福の存在。今年も50試合に登板し、防御率は2.00。ワンポイントの起用だけでなく、勝負どころの1イニングを任されるようになれば、勝利への確率はあがってくるだろう。

 小山雄輝投手との交換トレードでやってくる柿澤貴裕内野手はまだ22歳の4年目の内野手。一度、育成選手契約になったが、今年のシーズン中に支配下に。7月にはイースタン月間MVPを獲得するなど、チーム最多の出場数を誇り、期待のかかる選手だった。パンチ力のある左打者だが、守備の安定感はまだ欠けている。巨人で磨きをかけて初の1軍出場を目指していく。日本ハムから来た石川とともに若い世代の底上げを担う。

 さらに、日本ハムの陽岱鋼外野手を獲得するようなことがあれば、FA補強は3人目。センターラインの強化につながる。ウイークポイントを埋めて、来季だけでなく、巨人の黄金期を作れるのか。巨人がオフの補強の主役となっている。

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