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米記者は「敗者」に“分類“!? 大谷翔平はMLB新労使協定の影響を受けるのか


米大リーグ機構(MLB)と選手会が新たに合意に達した労使協定が、今後のメジャーリーグにどのような影響を及ぼすのか、米国内では注目が集まっている。

■大谷は対象外との声もあるが…名物コラムニストはメジャー挑戦への影響を危惧

 米大リーグ機構(MLB)と選手会が新たに合意に達した労使協定が、今後のメジャーリーグにどのような影響を及ぼすのか、米国内では注目が集まっている。米メディアはいくつものポイントを挙げて分析しているが、その中の一つが日本ハム・大谷翔平の移籍の問題だ。新労使協定のもとでは、早ければ来オフにも実現すると見られている二刀流のメジャー挑戦に制限が出るとの声や、大谷は適用外だと指摘する意見もある。

 米全国紙「USAトゥデイ」は、新労使協定における「勝者」と「敗者」を特集した記事を掲載。執筆した名物コラムニストのボブ・ナイチンゲール記者は、日本球界を「勝者」、大谷を「敗者」に“分類”している。

 新労使協定では、「インターナショナル・ボーナス・プール」というルールの対象となる選手の年齢が、22歳以下から24歳以下に引き上げられた。これは、メジャー球団が国外選手と契約する際に設けられている契約金額の上限。戦力不均衡が起こらないためのルールで、各球団の成績によって上限金額は異なるが、上限を超えた場合には罰金も含めた罰則が規定されている。

 新労使協定では対象年齢が変わったことに加え、ボーナス・プールの上限が500万ドル(約5億7000万円)になるという新ルールが設けられた。ボーナス・プールは他球団とのトレード等で金額枠が動かせるが、上積みできても最大で100万ドル(約1億1000万円)になるという。つまり、今年7月5日に22歳となったばかりの大谷が対象となるならば、25歳を迎える2019年までは大型契約は結べないことになる。渡米時は、総額3億ドル(約342億円)の超大型契約となる可能性も伝えられていただけに、この新ルールにより移籍のタイミングが早くても3年後になるおそれがあると、米メディアが一斉に報じた。

 一方で、メジャー挑戦時はポスティングシステム(入札制度)を利用することになる大谷に対しては、この「ボーナス・ルール」の適用外になるとの見方もある。地元紙「ニューヨーク・ポスト」のコラムニストであるジョエル・シャーマン記者は、NPBとMLBの協定が優先される可能性があることを示唆。米国

■「大谷にあわせて何らかの微調整が行われる可能性も」、NPBは「勝者」に分類

 そんな中、「USAトゥデイ」のナイチンゲール記者は、新労使協定の合意を受けて大谷を「敗者」と定義した。まずは、二刀流右腕について「日本版のベーブ・ルースと言える存在」と説明し、「暫定的に彼は来季後にMLB挑戦を考えていたとされる」と推測。その上で、以下のように指摘している

「しかし、インターナショナル・ルールでは、プロ選手が制約を受けないFA選手として扱われるには、少なくとも25歳を迎えていることを条件としている。大谷が2億ドル(約228億円)級の契約を得るには2019年まで待たなければいけない。さもなければ600万ドルのボーナスのみに留められてしまう」

 やはり、大谷にとっては不利になるとの見方だ。「新しいポスティングシステムの制定など、大谷にあわせて何らかの微調整が行われる可能性もあるが、まだ不確定な部分を残している」と含みを持たせているが、メジャー挑戦時に大谷が“損”をすることを危惧している。

 一方で、同記者が「勝者」と位置づけているのは「日本」だ。ボーナス・プールが変わることにより、日本人選手の渡米が遅くなるだけでなく、中南米系の若手選手がメジャー入りの前に日本球界を狙う可能性があると指摘。NPBのレベルアップにつながるというのだ。

「日本球界はスター選手を25歳まで引き止めることが可能になるだけではなく、ポスティング費で懐を潤すことができるようになるだろう。また才能ある若手選手の流入があるかもしれない。ラテン系のアマチュア選手が500万ドル以上の契約を得られないことで、一部の代理人たちは日本への選手進出を予想している。日本で実力を磨き、その後に大金を得るということだ」

 25歳までに日本で実績を残し、メジャー球団との超大型契約を目指す。そんな選手が増えてもおかしくないというのだ。

 ナイチンゲール氏やシャーマン氏が指摘するように、NPBとMLBの協定がどのように変化していくかで、状況は変わっていく可能性がある。日本球界も大谷も「勝者」となることが理想的だが、新労使協定が与える影響を今後も注視していく必要がありそうだ。

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