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開幕前の予想安打数は「38本」…低評価覆したイチローの躍進


メジャーリーグもオフの補強が熱を帯び始め、米国内では早くも来季を展望する予想、分析が出始めた。昨オフも米各メディアで新シーズンに向けて多くの見所が紹介される中、大きな注目を浴びたのがマーリンズ・イチロー外野手の「3000安打達成」だった。2015年シーズン終了時点で金字塔に残り65本と迫っていたイチロー。ちょうど1年ほど前、現地での達成予想はどうだったのか。改めて振り返ってみたい。

■米データサイトは低い数字を算出、予想の倍以上のヒット放ったイチロー

 メジャーリーグもオフの補強が熱を帯び始め、米国内では早くも来季を展望する予想、分析が出始めた。昨オフも米各メディアで新シーズンに向けて多くの見所が紹介される中、大きな注目を浴びたのがマーリンズ・イチロー外野手の「3000安打達成」だった。2015年シーズン終了時点で金字塔に残り65本と迫っていたイチロー。ちょうど1年ほど前、現地での達成予想はどうだったのか。改めて振り返ってみたい。

 様々な予想がなされる中で、安打数を具体的に弾き出した媒体がある。豊富なデータを基に様々な分析を掲載している米野球専門サイト「ファングラフス」だ。

 同サイトでは複数のデータから新シーズンの成績を割り出しており、イチローの打撃成績も予想。それによるとベテラン外野手の2016年シーズンは164打席で打率.251、安打数は実に「38」と極めて厳しいものだった。三塁打も2本、盗塁4個などと軒並み低い数字が並んでおり、その予想が的中すれば、イチローは2016年に3000安打に「27」届かなかった計算になる。

 スタントン、イエリッチ、オズナに続く4番手の外野手と位置付けられたことで出番が限られ、かつ、打率.229と低迷した2015年シーズンを受けての予想だったと見られるが、迎えたシーズンでイチローはその下馬評を大きく覆した。特に序盤戦は好調を維持し、オールスター前まで打率.335をマーク。前半戦だけで55安打、7盗塁を積み上げ、メジャー通算500盗塁、日米通算700盗塁、日米通算でのメジャー最多安打ピート・ローズ超え(4256安打)を成し遂げた。

■米記者もシーズン途中に“誤り”認める

 一部でオールスター待望論も沸き起こるほどの活躍を見せた6月には米主要紙「ワシントン・ポスト」が「イチロー・スズキは開幕前の予想が間違っていたと証明している。これがその理由だ」と題した検証記事を掲載。記事の中で執筆者でもあるニール・グリーンバーグ記者自身も「最も楽観的な見方をしても173打数43安打で、今季3000本達成は疑わしいという原稿を書いていた」と告白していた。

 そのイチローは7月、8月と失速し、3000安打達成に足踏みする時期もあったが、8月7日(日本時間8日)の敵地ロッキーズ戦でメジャー史上30人目の3000安打を達成。7回の第4打席、左腕ラシンからライトへ強烈な打球を放ち、今季2本目となる三塁打で決めた。その一打は福本豊氏の日本記録(115本)を抜く自身通算116本目の三塁打となるなど、まさに記録ラッシュのシーズンとなり、ベテラン健在を大きく印象付けた。2016年シーズンは結果、143試合の出場で327打数95安打、打率.291、1本塁打、22打点、10盗塁だった。

 イチローはオフに突入すると早々とマーリンズと契約を更新。来季だけでなく、2018年シーズンの契約オプションも盛り込まれるなど40歳を超える選手としては異例の内容となった。43歳で迎える来季はどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか。そろそろ、現地の打撃成績の予想も出始めるころ。今季見せたように、その予想を遥かに上回る活躍を期待したい。

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