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絶対的「左キラー」移籍、ソフトバンク「ポスト森福」は誰に?


ソフトバンクで10年間プレーし、中継ぎの中心選手として活躍してきた森福。森福が抜ける来季、チームとしては「ポスト森福」の台頭が急務となる。その候補となるのは、一体どの選手だろうか。

■「左キラー」がFA移籍、SBは「ポスト森福」台頭が急務に

 12月1日。ヤフオクドームに集まった報道陣の輪の中心で、涙を流しながら言葉を絞り出す男がいた。森福允彦、30歳。今季取得した国内FA権を行使し、獲得へ乗り出していた巨人への移籍を決断した左腕は、10年間プレーしたソフトバンク、そして、そのファンたちへの思いを話す中で、何度も言葉を詰まらせた。

 ソフトバンクで10年間プレーし、中継ぎの中心選手として活躍してきた森福。「成長と挑戦という気持ちの中で、巨人というチームの中で挑戦としてやっていきたい」。新天地での挑戦、そして、入団交渉の場で出された「セットアッパー」という、自らが望んでいた場所でのプレーにやりがいを感じての移籍決断だった。

 残留を要請していたソフトバンクにとっては大きな痛手となる。「左キラー」として確固たる地位を築いていた左腕。何よりも印象深いのは、絶体絶命の窮地での精神力の強さ。満塁など、失点も致し方ない状況でマウンドに上がり、それを切り抜けた場面が今季何度あったことか。危機的状況であれだけ頼りになる投手は、そう簡単には育たないだろう。

 森福が抜ける来季、チームとしては「ポスト森福」の台頭が急務となる。その候補となるのは、一体どの選手だろうか。

■島袋も左の中継ぎを狙う1人

 まず、名前が挙がるのは、今季30試合に中継ぎで登板した飯田優也。140キロ台中盤のストレートと鋭いスライダーが武器のパワーピッチャータイプで、今季の左打者との対戦成績も73打数16安打、被打率2割1分9厘と悪くない。一方で制球にやや難があり、投球内容の安定感に欠ける点が課題となる。

 次に候補となるのは、嘉弥真新也。今季は1軍ではわずか5試合の登板に終わり、防御率8.59と結果を残せなかった。飛躍を目指し、宮崎で行われた秋季キャンプから、腕の位置を下げてサイドスローに挑戦。フォームの安定を図り「左キラー」の地位を狙う。

 14年のドラフト5位の島袋洋奨も、左の中継ぎを狙う1人だ。今季は1軍登板はなく、ウエスタン・リーグで31試合に登板。2勝7敗1セーブ、防御率5.51と結果は奮わなかったが、その投げっぷりは良い。まずは開幕1軍に食い込むことが、目標となる。

■可能性秘める23歳育成左腕

 ダークホースとなる可能性を秘めるのが、育成選手の児玉龍也。九州国際大付高から神奈川大を経て、15年の育成ドラフト2位で入団したルーキー左腕。左サイドスローで投げるだけでなく、セットポジションに入った段階で右脚を左脚よりも一塁側に置き、クロスステップで踏み出す。その投球フォームは森福や、そして、日本ハムの宮西尚生を彷彿とさせる。

 23歳の左腕は今季2軍での登板はなく、3軍戦で25試合に登板。防御率4.26、25回1/3を投げて、与四球13、与死球7と制球力が大きな課題となった。秋季キャンプでは工藤公康監督や佐藤義則投手コーチから指導を受け、その変則フォームへの首脳陣の期待が垣間見えた。制球が安定すれば、楽しみな存在となる。

 絶対的な「左キラー」として君臨した森福の後継者。ここも来季に向けた競争の激戦区となりそうである。

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