BASEBALL GATE

プロ野球

今オフも話題に 日米プロ野球選手の登録名&背番号が変わるワケ


シーズンが終了し、毎年のようにこの時期に話題となるのが、「背番号変更」や「登録名変更」のニュースだ。プロ野球の場合、ドラフトや新加入選手の影響で背番号変更を余儀なくされる場合や、期待の表れとして球団から“新たな”背番号を打診される場合もある。

■今オフも話題となっている登録名&背番号変更

 シーズンが終了し、毎年のようにこの時期に話題となるのが、「背番号変更」や「登録名変更」のニュースだ。プロ野球の場合、ドラフトや新加入選手の影響で背番号変更を余儀なくされる場合や、期待の表れとして球団から“新たな”背番号を打診される場合もある。

 先日、楽天からは岡島豪郎選手の背番号27から4への変更、今江敏晃選手の登録名が今江年晶に、そして哲朗選手が西田哲朗へと変更となることが発表された。さらに埼玉西武は、「ふさわしい選手になってきた」という理由で伝統的な背番号である3番を浅村栄斗選手に託すことを発表した。

 プロ野球では毎年のようにこのようなニュースが話題となるが、メジャーリーグでも一般的なのだろうか。

 背番号に関しては日本と同様にシーズン終了後の変更は多い。その理由の多くは、メジャーデビューを果たす時、多くの選手が番号を自ら選ぶという特権を得ていないからである。スプリングトレーニングからメジャーデビューが確約されて新たなシーズンに突入する選手は極わずかである。大抵はシーズン途中に昇格をし、デビューを果たす場合が多く、その際は空いている番号の中から与えられるケースがほとんどだ。

■メジャー球団に見られる“暗黙の了解”、調子に乗ってると見られることも

 球団スタッフが気を利かせていい番号を最初から与える場合もあるが、最初は与えられた番号を着るというのが暗黙の了解である。この掟を破ってしまうと、ベテラン勢から調子に乗った若手と見られてしまうこともある。

 選手の名誉のために球団名や選手名は触れないでおくが、ある選手がメジャー昇格を果たした時に○○番が欲しいと、リクエストをしてしまったことがあった。するとその話題はロッカー全体へ広がり、チーム内でもあまり良く思われなかった。選手の入れ替えが激しいメジャーリーグでは何年かメジャーに定着して、初めてメジャーリーガーと周囲から認められる。その時は、まだ1日もメジャーリーグの舞台でプレーしていない選手が、特権でもある背番号を自ら提言するという行為で暗黙の了解を破った形になってしまったのである。

 このようなことから、いきなり若い番号でキャンプに参加できる選手は少なく、どんなプロスペクト(有望株)であっても、最初は60番台や70番台の数字を背負うことが一般的だ。そしてシーズンを重ねることで「この選手はもうすぐメジャーリーグに定着する」という雰囲気を周囲が感じれば、急に番号が変わる場合もあるだろう。

 2013年にはボストン・レッドソックスに所属していた(今オフFAを迎えている)田澤純一選手も背番号が63番から36番へと変更された。この年のオフだけでもレッドソックスでは複数の若手選手の背番号変更が発表されたが、当時は近い将来にメジャーリーグで活躍するだろうと思われていた面子ばかりだった。ある意味、“若い”番号へ昇格することは、メジャーリーグの一員として認められる第一歩でもあるかもしれない。

■イチロー同僚の主砲も登録名を変更

 一方、最近メジャーリーグで見られた登録名変更に関しては、2016年のシーズン途中にトロント・ブルージェイズへ移籍したメルビン・アプトンJr.がこれまで使用していたB.J.の名前から一新を図った例がある。元々はメルビンが本名であり、BJは父親に敬意を示して彼のニックネームだったボスマン・ジュニアの頭文字を使っていたようだ。

 2014年のオフにサンディエゴ・パドレスと5年契約を結んで以来、メルビン・アプトンJr.の成績は低下していた。不振は登録名変更に関係ないと本人もコメントを残しているが、心機一転も踏まえた変更と捉えられても仕方がないだろう。

 もう1人登録名変更の例を挙げるとマイアミ・マーリンズのジャンカルロ・スタントンだろう。

 彼はマイナーリーグ時代、そしてメジャーでも最初の2シーズンはマイク・スタントンとしてプレーしていた。中学時代に、教師をはじめとする周囲の人々がジャンカルロという名前の発音に苦戦していたことからマイクに変更したようだ。プロ入り後から両名を使っていたものの、実際にメジャーリーグで活躍する自信を得たのか、2012年のスプリングトレーニングから正式に登録名をジャンカルロに変更した。

■背番号や登録名の変更に見られるさまざまな理由

 本拠地のマーリングパークが初年度を迎えていたこともあり、注目度が上がり名前がニュースや紙面を飾ることになったため、新たな責任感が生まれたことも考えられる。名前変更が直接影響したかは分からないが、そのシーズンは自身最多タイとなる37本塁打を放ち、一気にMLBを代表するスラッガーへと登り詰めた。

 これまでは様々な理由により登録名の変更を余儀なくされたケースがある。メジャーリーグで活躍することへの自信を得たために本名へ変更する場合が多かったようだ。日本人選手でも有名なのが、オリックス・ブルーウェーブ時代に鈴木一朗選手が登録名をイチローに変更した例だろう。

 選手にとっては名刺代わりとも言える背番号や登録名。日米では選手だけではなく、チームの意向も含めさまざまな理由で変更が余儀なくされる場合がある。もちろん“若い”番号から大きい番号へ変更を余儀なくされるケースもあるが、多くの場合がプラスの意味合いでの変更が多い。

 今年のオフも日米で行われるであろう背番号変更。そしてさまざまな理由で見られる登録名変更。どんな影響を彼らに及ぼすのか来シーズン以降のパフォーマンスに注目したい。

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

「パ・リーグ インサイト」新川諒●文

関連リンク