BASEBALL GATE

侍ジャパン

来年のユニバーシアード制覇に向けて!侍ジャパン大学代表選考合宿第1日「地方大学出身」が紅白戦で輝く

紅白戦登板12投手中最速の147キロを出した九州産業大3年・草場 亮太

紅白戦登板12投手中最速の147キロを出した九州産業大3年・草場 亮太

 2016年の大学野球、ドラフト会議では「地方大学出身」が大きなキーワードとなった。
 
 6月の全日本大学野球選手権では東海地区大学野球連盟・岐阜県リーグ所属の中京学院大が初出場初優勝。その遊撃手として華麗な走・攻・守を見せ、日米大学野球でも侍ジャパン大学代表の一員として活躍した吉川尚輝は巨人ドラフト1位指名の栄誉に輝いた。
 
 また、侍ジャパン大学代表では4番を張り、阪神ドラフト1位を受けた大山悠輔内野手は関甲新学生野球連盟所属・栃木県小山市にキャンパスを持つ白鴎大所属。キャンパスは東京都八王子市ながら、東京新大学野球連盟所属の創価大から5球団競合の末、福岡ソフトバンク1位指名となった最速156キロ右腕・田中正義も含め、いまや「地方大学」は大学野球界、さらにプロ野球界にとってもなくてはならない存在となっている。

 そして、来年もその傾向は続きそうである。来年8月にチャイニーズ・タイペイの台北市で開催される第29回夏季ユニバーシアード・野球競技連覇を期す侍ジャパン大学代表の選考合宿。11月26日・愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアムでの初日紅白戦でも「地方大学出身」の選手が随所で輝きを見せた。

 すでに今年の日米大学野球で侍ジャパン大学代表を経験済の捕手・吉田高彰や外野手の島田海吏といった上武大学(関甲新学生野球連盟)勢は、攻守に貫禄のプレーぶり。加えて、中央では無名の右腕2名も素晴らしいピッチングを披露している。

 1人目は187センチ92キロと堂々たる体格を有する近藤弘樹(岡山商科大3年)。中国地区大学野球連盟では最速151キロ右腕として知る人ぞ知る存在だったが、代表候補合宿初招集となったマウンド上でも落ち着いたマウンドさばきで2回無失点。クイックやスライダー、ツーシームやフォークの精度にも非凡な才能がうかがえた。

紅白戦で最速144キロを出した近藤 弘樹(岡山商科大3年・投手)

紅白戦で最速144キロを出した近藤 弘樹(岡山商科大3年・投手)

 2人目は183センチ75キロとしなやかな体系を持つ福岡六大学野球連盟所属・九州産業大3年の草場亮太。ストレートはこの日、紅白戦に登板した全12投手の中で最速、自己最速にあと4キロを迫る147キロを計測。大学ではこれまでけがや、高良一輝(4年・北海道日本ハム3位指名)をはじめとする厚い投手層に阻まれ、多くの登板機会は得られていなかったが、秋のリーグ戦では3勝1敗と主戦級に。その自信からか、この日はチェンジアップなどの変化球にも見るべきものがあった。

 今回の選考合宿参加は48名だが、ユニバーシアード本番でのエントリーは22名と非常に狭き門。彼ら2人がそこに到達するまでには様々な課題が残っている。ただ同時に、この日2人が「特に投手陣は新しいチーム作りになる中で『長い期間、もう1回見たいな』という選手はいた」と話した横井人輝・侍ジャパン大学代表監督の目の中に入ったことも事実。2017年「地方大学出身」躍進の旗手として、近藤弘樹・草場亮太の2人の今後には要注目である。