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ドラ1高橋も1軍デビューせず ホークスの新人6選手、今季成績は想定通り?


球界はすっかりオフシーズン。FAや補強の話題が世間をにぎわす時期となった。各球団で続々と今ドラフトで指名した新入団選手の加入会見が行われるなど、来季への動きが紙面やテレビ画面で伝えられている。

■信念に基づき若手育成を続けるホークス、球団の育成方針が表れた新人の今季成績は?

 球界はすっかりオフシーズン。FAや補強の話題が世間をにぎわす時期となった。各球団で続々と今ドラフトで指名した新入団選手の加入会見が行われるなど、来季への動きが紙面やテレビ画面で伝えられている。

 3年連続の日本一を逃したソフトバンクは、11月22日に新入団選手発表会見を実施。5球団競合の末に獲得したドラフト1位の田中正義投手(創価大)はじめ、支配下4人、育成選手6人が会見に臨み、競争の世界への第1歩を踏み出した。

 この未来の星たちを迎え撃つのが、プロとして1年のキャリアを過ごした昨年のドラフト指名選手たち。県岐阜商から3球団競合の末に加入した高橋純平投手らだ。

 1年目は体作りに位置づける球団方針もあって、他球団のドラフト1位全員が1軍デビューを果たす中、高橋はドラ1で唯一、1軍の舞台を経験出来なかった。高橋だけに限らず、全員が高卒だったルーキーたちの1軍出場はなし。ここでは、ソフトバンクの昨季のドラフト指名選手たちの今季の成績を見てみたい。

◯1位 高橋純平(県岐阜商高) 投手

▽ウエスタン・リーグ
7試合2勝1敗 28回1/3 21安打 1被本塁打 20奪三振 8失点 防御率2.22
▽3軍戦
6試合0勝2敗 28回 27安打 3被本塁打 21奪三振 21失点 防御率5.79

 1月の新人合同自主トレ初日にいきなり左スネを痛めて離脱。春季キャンプも別メニューで調整を続けた。デビュー戦は5月28日のウエスタン・リーグの広島戦(タマスタ筑後)。2回を3安打2死球2失点と結果を残せなかった。その後も、2軍戦を中心に登板した。

 フレッシュオールスターでは自己最速を2キロ更新する154キロをマーク。前評判通りの球速や球威などは目を見張るものがある一方で、制球には課題を残した。秋季キャンプでは高校時代からのインステップ(踏み出す左足が三塁側に入る)の矯正に着手。工藤公康監督や佐藤義則1軍投手コーチからは高評価を受けており、来季こそ1軍デビューに期待がかかる。

■ソフトバンクに在籍する全選手の中で最も多く3軍戦に出場した茶谷

◯2位 小澤怜史(日大三島高) 投手

▽ウエスタン・リーグ
登板なし
▽3軍戦
18試合3勝5敗2セーブ 48回2/3 56安打 3被本塁打 35奪三振 31失点 防御率4.81

 最速152キロ右腕は今季、ウエスタン・リーグでは登板なし。主に3軍戦で実戦の経験を積んだが、イニング数を上回るヒット数を許しており、課題が残る結果に。球速は140キロ台中盤をマークしているだけに、来季はウエスタン・リーグで結果を残したいところだ。

◯3位 谷川原健太(豊橋中央高) 捕手

▽ウエスタン・リーグ
出場なし
▽3軍戦
49試合 123打数18安打0本塁打6打点 打率.146

 未来の正捕手候補の1人だが、こちらもウエスタン・リーグの出場はなし。韓国遠征などを行った3軍戦で経験を積んだ。高校通算41発を誇る打力が武器ながら、プロの投手に苦しんだ印象は拭えず。拓也、斐紹といった定位置を狙う先輩を脅かすには、まだ時間がかかりそうだ。

◯4位 茶谷健太(帝京三高) 内野手

▽ウエスタン・リーグ
5試合 5打数0安打 0本塁打 0打点 打率0割
▽3軍戦
77試合 230打数47安打 0本塁打16打点 打率.204

 ソフトバンクに在籍する全選手の中で最も3軍戦に出場したのが、この茶谷だ。ドラフト指名時は投手だったが、打者としての評価も高く入団時に内野手へ転向した。打率2割4厘と打率は残せなかったが、77試合での起用は、その打力への期待は現れ。来季はウエスタン・リーグで主軸を張れるまでに成長したい。

■じっくり育て、常勝軍団の土台を固めるソフトバンク

◯5位 黒瀬健太(初芝橋本高) 内野手

▽ウエスタン・リーグ
15試合 43打数8安打 3本塁打 6打点 打率.186
▽3軍戦
71試合 230打数48安打 2本塁打 31打点 打率.209

 16年のルーキーで最も結果を残したのは、この男かもしれない。打率.186と低調ながら、ウエスタン・リーグで3本塁打を放った。高校通算97本塁打の触れ込み通りのパンチ力を見せてくれた。まだまだ確実性には欠けるものの、やはり長打力は魅力。いつも笑顔を絶やさない、その姿勢も好感を持てる。

 このオフは柳田悠岐が、糸井嘉男(FAで阪神移籍)らとともに行うグアム自主トレに参加予定。球界を代表する打者から、打撃の真髄を学び取り、来季の成長の糧とする。

◯6位 川瀬晃(大分商高) 内野手

▽ウエスタン・リーグ
30試合 50打数8安打 0本塁打 2打点 打率.160
▽3軍戦
58試合 167打数45安打0本塁打12打点 打率.269

 16年のルーキーの中で、最も2軍で出場機会を得たのは川瀬だった。ケガ人などのチーム事情で内野手が不足がちだったこともあり、ウエスタン・リーグ30試合に出場。守備面ではそれなりの安定感を見せていたが、打率.160止まり。3軍ではチーム内で上位となる打率.269のアベレージを残しているだけに、2軍レベルにも対応したい。

 今オフは同じ大分県出身で、遊撃手の先輩の今宮健太の自主トレに参加する予定。黒瀬のように、球界を代表する選手のエキスを吸収する場にする。

 成績を見れば明らかだが、ソフトバンクの育成方針はハッキリとしている。高卒新人は基本的に3軍戦で経験を積み、そこでの成長が認められて、ようやく2軍での出番をつかむ。そして、2軍の中での競争の末に、定位置をつかみ、そこで結果を残した先に1軍への道が開ける。

 15年のドラフト指名選手を期待外れと言うなかれ。あくまでこの育成方針に沿ってのことで、想定通り。ドラフト1位の高橋純平に限れば、来季の1軍候補に入るかもしれないが、ほかの5選手は入団から3年、5年後を見据えている。じっくり育て、常勝軍団の土台を固める。確たる信念に基づいて、ソフトバンクは育成を進めていく。

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