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2018.04.17 12:00
【THE INSIDE】首都大学野球リーグは注目のドラフト候補も多数…大学野球探訪(10)
4月の声とともに、各地では大学野球のリーグ戦が始まった。
暦の関係もあって、早いところでは1日から始まっているところもあったが、昨年秋は日体大が優勝して明治神宮大会も制した首都リーグも1日に開幕。日体大は昨秋の軸となったプロ注目の松本航君(4年・明石商)と東妻勇輔君(4年・智辯和歌山)の両投手が残っているだけに、今季も期待も高い。
しかし、ライバルの東海大にも青島凌也君(4年・東海大相模)と、ここへきて大きく成長を示してきた左腕の飯嶋海斗君(4年・成田)という充実の投手陣などもいる。
その両校がぶつかった、第2週の試合が行われた越谷市民球場には多くのメディア関係も集まり、学生野球ファンも多く観戦に訪れていた。もっとも、松本君も青島君も故障明けということもあり、スカウトなどは、「どこまで回復しているのか」というところの確認も含めて足を運んでいたというところもあったようだ。
また、現場を任された日体大・古城隆利監督、東海大・安藤強監督は「勝負としては勝ちに行きたいが、逸材を壊してはいけない」というところもあって、「無理はさせるわけにはいかないが大事なところでは投げさせたい」というジレンマもあったのではないだろうか。
そんな注目の試合の第1戦は日体大が4番エドポロ・ジョセフ君の2本の左越ソロなどで東海大を振り切った。それでも被弾した飯嶋君は6イニングで13三振を奪い、大きく割れるタテの変化球の威力は十分に示した。
日体大・エドポロ君(3年・柏日体)
第2戦は延長にもつれ込み大会規定によるタイブレークとなったが、延々と16回まで続いてしまい、東海大が雪辱を果たして1勝1敗となった。これで、勝ち点を競う第3戦は預かりとなり、翌々週の21日に組み込まれることとなった。
首都リーグは、昨年度から原則として授業のある平日が試合になることを回避するために3連戦は行わず、1勝1敗の場合は予備週の土日に試合を組み込んでいく方式となっている。学生野球の本分としてその姿勢は極めて正しいのだが、そのことによってリーグ戦中の順位はなかなか読みにくくなってきている。
今季から就任した田倉雅雄事務局長は、「確かに順位はわかりにくくなっていますね。それに、1勝1敗となったら次の試合までに間隔が開きますから、一人軸になる投手がいれば、その投手を検討でなく使えるというメリットもあります。そういうことも、リーグ戦がより混戦となっていく要素になるのかもしれません」と見ている。
運営という観点からみれば、球場問題も大きい。学生野球の聖地とも言われている明治神宮外苑球場に定着している東京六大学リーグと東都大学野球リーグ(1部)とは異なり、首都大学リーグは球場問題も大きな課題となっている。「今年は(東京オリンピックへ向けての改修工事などで)大田スタジアムが使えないのと、以前使用していた川崎市の等々力球場もまだ使用出来ません。これで、雨で試合が流れたら、予備日に回すカードがまた大変になってしまいますから、とにかく天気が一番気になります」と、田倉事務局長は現場の苦労を語る。
越谷市民球場の外観とリーグ戦開催を告知する横断幕
そんな中で今季は越谷市民球場が初めて使用され、予備日には改装なった浦安市民球場を使用することになっている。首都大学野球は文字通り、「首都圏」の球場を転戦しながらの開催ということになるのだ。
リーグの質は年々高くなってきている。「各校のエースと言われる存在は、東都や六大学のエースとも遜色ないと思います」と、日体大古城監督は自校の投手陣だけではなく、全体に投手力を中心に向上していることを認めている。
かつては東海大が独走気味で、それを日体大が追い、現在は2部に降格しているが明治学院大や大東文化大、昨年春に4度目のリーグ優勝を果たした帝京大などが何とか追随していこうという形のリーグ戦だった。そこに、東京教育大時代からの筑波大が絡んでいくという展開だった。それが近年は混戦状態になっている。リーグ戦発足当時から参加している武蔵大が充実してきて、新興の桜美林大と共に台風の目となっていきそうだ。
今季も筑波大の村木文哉君(4年・静岡)や躍進著しい武蔵大の秋山翔君(4年・日大鶴ヶ丘)、帝京大の廣畑敦也君(3年・玉野光南)などが注目されている。競い合うことで、さらにリーグそのもののレベルも上がっていくであろうし、見る側としての興味も尽きないリーグ戦となっていく。