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大谷のメジャーでの二刀流起用に追い風? MLBのロースターが26人に拡大も


MLBのベンチ入りメンバーにあたる「アクティブ・ロースター」の人数が、現在の25人から1人増えて26人となる可能性が浮上している。

■労使協定締結交渉で“1人増”の案が浮上、先発6人制を採用する球団が出てくる可能性も?

 MLBのベンチ入りメンバーにあたる「アクティブ・ロースター」の人数が、現在の25人から1人増えて26人となる可能性が浮上している。これが実現すれば、先発投手を1人増やして中4日ではなく中5日で起用する球団も出てくる可能性があり、来オフにもメジャー挑戦に踏み切ると見られている日本ハム・大谷翔平投手の二刀流継続に追い風となるかもしれない。

 ESPNは23日(日本時間24日)、現在難航しているMLB機構と選手会の新労使協定締結交渉の中で「アクティブ・ロースター」を拡大する案が浮上していることを紹介。記事では「選手会がクラブ側に求めていることの一つが、4月~8月の期間において、ロースター登録の人数を26人に変更することだ。その代わりに、9月の最大登録人数を現在の40人から28~30人程に大幅削減ということも議題に上げている」と伝えている。

 8月までの「アクティブ・ロースター」を26人に拡大する代わりに、9月は枠を40人から大幅に減らすことを検討中だという。メジャーでは、9月になると「セプテンバー・コールアップ」と呼ばれるルールで、ベンチ入りメンバーが25人からメジャー契約枠と同じ40人に拡大される。つまり、メジャー契約の選手がすべてベンチに入れることになっているが、これが大きく縮小されるというのだ。

 では、「アクティブ・ロースター」が26人になることでは、どのような変化が起こるのか。当然、増えた1枠をどのように使うかは、球団によって異なるだろう。野手を1人増やすことで、代打起用などの幅を広げようとするチームもあるかもしれない。ただ、ESPNでは投手枠を1人増やすことが現実的だと分析している。

「4月から8月にかけて26人のロースターになるとすれば、一般的な観点から見れば、ほとんどの球団はリリーフ投手を加えるだろう。投手で13枠、といったことも26人ロースターでは定番となるだろう。またこの1枠によりチームは左のワンポイント要員のような『スペシャリスト』をロースターに加えることができる」

 記事ではこのように、中継ぎを1人増やす球団が多くなると指摘。だが、当然、先発投手を1人増やすために枠を使うという選択肢も生まれるだろう。

■DH制のあるア・リーグで大谷を二刀流起用するならば…

 NPBからメジャーに挑戦する日本人投手にとって、最も大きな問題の1つになっていたのが、中4日という登板間隔だった。28人の1軍メンバーから各試合25人がベンチ入りする日本では中6日での登板が基本で、移動距離の差などを考えても、メジャーの先発投手は日本と比べて圧倒的に負担が大きい。過酷なスケジュールの中、日本時代と同じパフォーマンスを発揮するのは困難で、よりタフさが求められた。

 ただ、近年、メジャーでも負担軽減のために先発6人制の必要性を訴える声は増えてきており、移行を進めようとするMLB球団も出てきていた。大型連戦中にだけ6人制ローテを採用し、中5日で乗り切るチームもあったが、シーズンを通して考えると25人という枠の中でのやりくりがつかず、採用することは困難だった。ただ、26人枠となれば先発投手を1人増やし、6人制ローテに切り替える球団も出てくるかもしれない。

 これは、将来的なメジャー挑戦を目指す大谷、そして米国でも二刀流を期待するファンにとって朗報だろう。今季、打者としても圧倒的なインパクトを残した大谷だが、米国内ではいまだに「メジャーでは投手1本で起用」という声が根強い。打者としても起用するために、最大のネックとされてきたのが、中4日という登板間隔だった。現在、日本ハムでは中6日の日程で可能となっている大谷の二刀流起用が中4日で実現可能なのか。肉体的負担も含め、非現実的とする声が多かった。

 ただ、登板間隔が中5日になれば、状況は大きく変わる。それだけ、この1日の価値は大きい。特に、パ・リーグと同じようにDH制のあるア・リーグに移籍した場合は、具体的な起用法も見えてくる。中5日のうち、大谷を登板前後の1日ずつを除く3日間はDHとして起用。大谷が休養する2日はベテラン野手を負担軽減のためにDHで使う。こんな考え方もできる。これでも、メジャーでの二刀流起用における肉体的負担は限りなく大きいが、中4日よりは可能性が広がることは確かだ。

 もちろん、現在メジャーでプレーする日本人投手にとっても、所属球団が先発6人制を採用すれば、大きなプラス材料となる。難航している労使協定締結交渉の行方に、大きな注目が集まる。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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