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FA移籍する選手は「裏切り者」なのか? 元捕手が“選手側の見解”綴る


フリーエージェント(FA)権を行使してチームを去る選手について、今季限りで現役を引退した西武の星孝典捕手が独自の見解を示している。

■チームを去る者、残る者―、今年は6選手がFA宣言

 フリーエージェント(FA)権を行使してチームを去る選手について、今季限りで現役を引退した西武の星孝典捕手が独自の見解を示している。

 東北学院大から2004年のドラフト6位で巨人に入団。その後、11年5月に西武に金銭トレードで移籍し、今オフに戦力外となった。すでに育成コーチの就任が発表されており、12年間の現役生活を終えた34歳は指導者として再出発する。

 そんな星は23日、自身のブログを更新。「書かずにはいられなかった」として、自身の「意見」を綴った。それはFA宣言して移籍する選手についての見解だった。

 日本プロ野球に所属する選手は一定期間を経ると国内FA権、海外FA権を取得することができ、国内、海外の球団と選手契約を結ぶことが可能となる。国内FA権を取得するには、原則として8シーズン、海外FA権では9シーズンの出場選手登録日数を必要で、選手によってはここで大型契約を手にしたり、意中の球団へ移籍することができる。

 今年も複数の選手が権利を取得。そのうち陽岱鋼外野手(日本ハム)、森福允彦投手(ソフトバンク)、糸井嘉男外野手(オリックス)、山口俊投手(DeNA)、岸孝之投手、栗山巧外野手(ともに西武)の6選手がFA宣言し、すでに糸井が阪神、岸が楽天に移籍することが決定。また、栗山はFA権を行使した上で西武への残留を選択している。

■「ほとんどの選手はFAで移籍する人間に対して裏切り者と思ってない」

 FA選手の去就が続々と決まる中、星は「FAで移籍する選手は裏切り者なのか」と問題提起。「きっとほとんどの選手は、FAで移籍する人間に対して、裏切り者と思ってないと思います」と自身の考えを綴った。

 その理由として「裏切り者」と考えたところで何もプラスにならないこと、移籍した選手と対戦することや「空いたポジション」をチーム内で争い埋めていくことが新たな競争につながることなどを挙げており、FA選手に対して時に周囲から沸き起こる「攻撃的な感情」に否定的な考えを示している。

 今回は同じ西武に所属した岸が楽天に移籍することを決断。後輩投手やその他のFA宣言選手の決断を尊重する姿勢を見せ、ブログで「実際プレーする選手は移籍する人間に対して裏切られたと言う気持ちはないという事、もしそれに似た感情があったとしても、それは裏切りではなく、自分を向上させるきっかけを作ってくれた人と思える人間でありたいという事」を伝えたかったとしている。

 星は2013年オフに当時チームメイトであり、同年代の片岡治大内野手が巨人にFA移籍した際にもブログを更新。「彼のこの決断は、そう簡単なものではないと思います。新たな環境に自ら飛び込むのは、かなりの勇気がいるのは間違いありません。それに、FAという権利は誰もが取れるものではなく、長い年月を経てやっと勝ち取ることのできるもの」と綴り、大きな決断を下した戦友にエールを送っていた。

 FAでチームを去る選手は「裏切り者」なのか。周囲の見方は様々であり、ファンにとってはその選手に対して愛情が深ければ深いほど、ショックも大きいだろう。今回の星も「誤解を招いてしまうかも」と周囲に配慮しつつ、慎重に言葉を選びながら自身の思いを綴っていた。

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