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プロ野球

陰のヒーロー!嫌なムードを一掃した小谷野の送りバント!

7回オリックス2死満塁、小谷野が中越えに走者一掃の二塁打を放つ=京セラドーム【写真提供:共同通信社】


 オリックスの小谷野栄一が4日の千葉ロッテ戦で、チームに勝利を呼び込む見事な送りバントを決めた。

 開幕から先発投手が好投するも、援護に乏しく試合を落としてきたオリックスにとって、何がなんでも欲しかった追加点を取るために講じた策は、無死1、2塁からの送りバントだった。 1点リードで迎えた6回、ふたつの四球で貰ったチャンスに打席に向かったのはベテランの小谷野栄一。初回に飛び出した吉田正尚の2ラン以降は、千葉ロッテの先発・二木康太のフォークをバファローズ打線は打ちあぐねていた。アルバースの好投に応えるためには、追加点が欲しかった。そんなシーンで、プロ16年目の小谷野栄一は涼しい顔で送りバントを決めた。

 走者が、吉田正尚、ロメロということを考えれば、易しいばんとではなかったはずだ。それでも、いとも簡単に初球を投手と捕手の中間に転がしての送りバント成功。「自分で決めたい」という思いを封印しての犠打。ダッグアウトに笑顔で戻った31番をハイタッチで迎えたナイン。チームが一体になった瞬間だった。そして、この貴重な犠打で広がった好機に、続くマレーロがセンターへ犠牲フライを打ち上げ、三塁走者を本塁に迎え入れた。この追加点で、チームを覆っていた嫌なムードは一掃されたといっていい。

 この試合のヒーローは来日初登板で勝利を挙げたアルバースであり、先制2ランの吉田正尚かもしれないが、試合の流れを大きく手繰り寄せたプレーは、2012年シーズンにリーグ最多の40犠打を決めたこともあるベテランの送りバントであったことは間違いない。「前後に凄い打者が並ぶ打線なので、繋ぎ役に徹するだけですよ」と謙遜するが、7回には2死満塁から走者一掃のタイムリー2ベースを放って試合を決めるあたり、そこは流石に2010年の打点王。脇役に徹するつもりはない。ベテランの貴重な犠打とダメ押しのタイムリーでホームでの今季初勝利をもぎ取ったオリックス。チームとしてシーズン序盤の転機になる試合となったかもしれない。