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今季相次いで起こった“史上初” 2016年プロ野球は異例の初物尽くし!?


2016年のシーズンは日本ハムの日本一で幕を閉じ、シーズンオフを迎えた。各球団とも秋季練習、キャンプで再出発し、新人選手との仮契約なども続々と終えている。

■大谷165キロに2年連続トリプルスリー、快挙に珍事…今季起きた主な史上初は?

 2016年のシーズンは日本ハムの日本一で幕を閉じ、シーズンオフを迎えた。各球団とも秋季練習、キャンプで再出発し、新人選手との仮契約なども続々と終えている。

 今季セ・リーグは広島が2位・巨人に17.5ゲーム差をつけて25年ぶりの優勝を遂げ、ペナントレースを盛り上げた。日本シリーズも白熱した試合が繰り広げられ、野球ファンにとっても印象に残るシーンの多かったのではないか。そんな今季は球界&球団史上初の出来事や記録更新も多かった。ここではその主な出来事を振り返ってみたい。

○球界最速の165キロなど「大谷劇場」

 パ・リーグのクライマックスシリーズ最終ステージ。ソフトバンクとの第5戦で日本ハム・大谷翔平は「3番・DH」でスタメン出場し、9回にDHを解除してリリーフ登板。シーズン中に史上最速の164キロをマークしただけでもすごいのだが、NPB最速記録を更新する球速165キロを出した。それだけでなく、大谷は投手で10勝、野手で本塁打20発超えをマークしたことや、1番投手で出場して初回先頭打者本塁打を放つなどし、これらもNPB初の快挙となった。

○ヤクルト・山田、2年連続トリプルスリー

 今では球界の顔となったヤクルト・山田哲人。昨年は38本塁打、打率.329、34盗塁でトリプルスリー。偉業達成者の翌年は成績を落とすというジンクスがあったが、どこ吹く風で今年も38本塁打、打率.304、30盗塁と史上初の2年連続トリプルスリーを成し遂げた。また、2年連続で100打点超えも記録しており、24歳の若き戦士のさらなる飛躍が楽しみだ。

○DeNAが悲願の初CS進出、12球団で最後

 DeNAは2007年から始まったクライマックス・シリーズで前身の横浜から12球団で唯一、CSに出場していなかったが、今季リーグ3位に入り、悲願達成。決定直後にエース・三浦大輔が引退を表明するというさみしい出来事も起きたが、チームは一丸となり、CSファーストステージで2位の巨人を撃破した。就任1年目でAクラス入りをしたラミレス監督はCS決定時に「本当に長い間待っていただいていた多くのみなさまの前で決めることがで来てよかったと思います。オメデトウゴザイマス!」と日本語スピーチを披露して球場を沸かせた。

■初の2球団でのサイクル、セ遊撃手首位打者、3試合連続マルチ弾…

○阪神・福留が初の2球団&史上最年長サイクルヒットを達成

 阪神・福留孝介外野手が7月30日の中日戦(甲子園)でサイクル安打を達成した。中日時代の03年6月8日(ナゴヤドーム)の広島戦以来でも記録しており、自身2度目の快挙。2球団での達成は史上初で39歳3か月でのサイクル達成は史上最年長となった。それまでは1983年にミスター赤ヘルこと、広島・山本浩二の36歳6カ月が最年長だった。

○巨人・坂本がセ・リーグ初の遊撃手での首位打者獲得

 巨人の主将・坂本勇人内野手が10年目で初の首位打者を獲得。新たに重心を後ろにして打つフォームに改造し、日々の練習の成果でキャリア最高の打率.344をマークした。セ・リーグの遊撃手として初めての首位打者になった。過去には1983年に首位打者となった二塁手・真弓明信(阪神)が遊撃も守ったことはあるが、遊撃手のレギュラーでは初。2リーグ制以降、首位打者に輝いた遊撃手といえば1956年の豊田泰光(西鉄)と2010年の西岡剛(ロッテ)の2人だけ。

○DeNA・筒香が史上初の3試合連続2本塁打&月間6度の1試合2本塁打以上

 7月22日の巨人戦でハマの大砲・筒香嘉智外野手が2-2の同点の場面でセットアッパーの山口からサヨナラ本塁打。この日、2本目だった。7月19日のヤクルト戦から3試合連続でマルチ本塁打を放つ快挙。月間で1試合2本塁打以上を6度マークしたのもプロ野球新記録。筒香は今年、44本で本塁打王を獲得した。日本の主砲といってもいい活躍ぶりだった。

○中日のビシエドが開幕戦から3試合連続弾、来日1年目の外国人では史上初

 今季加入した中日のダヤン・ビシエド外野手が3月25日の開幕戦から4番に入り、第5打席で初本塁打。翌26、27日も本塁打をマーク。新外国人の開幕から3試合連続本塁打は史上初だった。開幕戦で2安打、2、3試合は連続で猛打賞。なおシーズントータルでは22本塁打だった。

■史上初1日1回4K、2度の1球勝利…

○オリックス開幕戦から13試合連続本塁打なし、2リーグ制後新記録

 オリックスが開幕13試合で本塁打がでなかった。これは2リーグ制後のワースト記録だった。それを打ち破ったのは糸井嘉男外野手だった。4月13日の日本ハム戦(京セラドーム大阪)で1点差の5回2死一、二塁。中村の高めに浮いたカーブを完璧に捉え、右翼席へライナーで打球を運んだ。それまでの記録は1953年の大映の12試合連続だった。

○新人史上初のランニングホームラン2本

 楽天のルーキー・茂木栄五郎内野手が8月25日のソフトバンク戦と9月19日の西武戦でシーズン2度のランニングホームランを記録。シーズン2本は1992年巨人・川相昌弘(現巨人3軍監督)以来。新人では初めてだった。茂木は今季新人ながら開幕スタメンを勝ち取り、117試合に出場。打率.278、7本塁打、40打点。来季以降はチームの主力としての期待がかかる。

○史上初の1日に1回4奪三振が2人

 阪神の藤浪晋太郎投手が7月29日の中日戦(甲子園)で三振振り逃げを含む1イニング4奪三振という珍記録。過去に何度かあるが、同日にDeNAの石田健大投手も広島戦(マツダ)で1イニング4奪三振を記録。同日に2人の達成は史上初めてのこととなり、非常に珍しい1日となった。

○楽天・金刃が史上初の2度の1球勝利

 楽天の金刃憲人投手が6月11日の広島戦(コボスタ宮城)で1球勝利。同25日のソフトバンク戦(コボスタ宮城)では、2点を追う7回2死一、三塁で2番手で登板。1球で無失点で切り抜けると、直後の7回裏に味方打線が3点を奪い逆転。今季2度目の“1球勝利”を挙げた。シーズン2度目は史上初だった。金刃は自己最多の今季54試合に登板し、3勝1敗。14ホールド、防御率2.38の成績を収めた。

■史上初捕逸ゼロも史上初の屈辱…

○オリックスが悲しき史上初の屈辱

 オリックスはパ・リーグ最下位、交流戦最下位、ウエスタンでも2軍が最下位となるという史上初の屈辱を味わった。優勝チームが全球団に勝ち越すことを「完全優勝」というが、逆にオリックスは5球団すべてに負け越し「完全最下位」となってしまった。今年はオープン戦でも最下位。シーズン序盤から低迷してしまったが、来季は応援熱心なファンのためにも巻き返しを期待したい。

○オリックスの快挙、史上初のシーズン捕逸ゼロ

 バッテリーミスは致命的なミスになりかねないが、今年のオリックス捕手陣は見事だった。捕逸(パスボール)ゼロは史上初。今季は伊藤光、山崎勝己、若月健矢の3捕手がスタメン起用された。昨年は10個あったが、今年はワンバウンドのボールでも前で落とし、進塁を許すことはなかった。2年前のU21日本代表で捕手で74試合にスタメンマスクをかぶった若月の台頭はチームにとっても大きかった。

○1日に2人の初球先頭打者ホームラン、1回表では史上初

 9月15日には2球場で初球先頭打者本塁打が出た。オリックス・糸井嘉男外野手が日本ハム戦(札幌ドーム)でメンドーサから右翼へ13号。DeNAの桑原将志外野手が阪神戦(甲子園)で先発・メッセンジャーから左中間席へ11号初球先頭打者弾。先頭打者弾が2試合出たことはあるが、1回表に2本出たのは史上初。糸井はこの試合で3本塁打を放った。

○DeNA山崎康が史上初新人から2年連続で30セーブ達成

 DeNAの山崎康晃投手が9月15日の阪神戦(甲子園)で30セーブ到達。プロ野球史上初めて新人から2年連続で30セーブに到達した。2年連続20セーブもいなかったが、それを上回る成績だった。1年目の昨季は58試合で2勝4敗37セーブ、今年は59試合で2勝5敗33セーブと奮闘。一時は連続して失点する試合が続いたが、初のCS進出には欠かせぬ存在だった。若き守護神の活躍はこれからも楽しみだ。

○ドラフト会議、桜美林大・佐々木に外れ1位5球団競合

 今年のドラフト会議では6球団競合の末、ソフトバンクが引き当てた田中正義(創価大)に注目が集まった。一方で1位の抽選に敗れたロッテ、DeNA、巨人、日本ハム、広島の5球団が、外れ1位指名で桜美林大の右腕・佐々木千隼を指名。ロッテが交渉権を獲得。外れ1位の5球団競合は史上最多だった。

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