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プロ野球

常勝への近道は?リーグによって異なる捕手事情


◆ 捕手併用が当たり前の時代に

 V9時代の巨人には森昌彦、1980年代後半からの西武黄金時代には伊東勤、90年代のヤクルトには古田敦也。常勝チームには固定された正捕手が必ずと行っていいほど存在した。しかし、最近はその様相が変わってきている。

 今年のペナントレースを制した日本ハム、広島は規定打席に到達した捕手はいなかった。日本ハムは大野奨太、市川友也、広島は石原慶幸と会沢翼を併用。この2チームに限らず近年は長いシーズンを乗り切るために捕手を併用することが当たり前となった。その結果、今シーズン、両リーグを見渡しても規定打席に到達した捕手は小林誠司(巨人)ただ1人。各チームとも複数の捕手ペナントレースを戦ったことがよくわかる。

◆ パ・リーグの2強は併用が続きセ・リーグは固定が主流

 ここ数年、パ・リーグの上位を争っているソフトバンク、日本ハムの2チームは捕手併用が顕著に数字へと表れている。日本ハムが25年ぶりの優勝を果たした2006年以降の11年でソフトバンク、日本ハムの両球団は合計9回のパ・リーグ制覇を果たしているのだ。その間に両チームから誕生した捕手の規定打席到達者は2009年ソフトバンクの田上秀則ただ1名。(捕手登録の高橋信二は09年に規定打席に到達しているが、捕手での出場が12試合のため含まない)この年、ソフトバンクは3位と優勝を逃しているため優勝したシーズンにおいて捕手の規定打席到達者はこの2チームから出ていないということになる。

 この2チームが優勝を逃した2008年は細川亨(西武)、2013年は嶋基宏(楽天)が優勝チームの捕手として規定打席に到達している。しかし、両チームともこれ以降、優勝はなく2014年以降はBクラスとなっており常勝チームを作ることができなかった。

 セ・リーグは今年の広島こそ捕手併用性を敷いていたが昨年のヤクルト、2012年から3連覇を果たした巨人も正捕手を据えており規定打席到達を果たしている。2005年以降の11年間で規定打席捕手不在のチームが優勝したのは今年の広島を含め3例目だ。

 パ・リーグは捕手を併用しているチーム、セ・リーグは正捕手を据えているチームが好結果を残している。

 来シーズン、規定打席へ到達する捕手は現れるだろうか。各チームの捕手事情にも注目したい。

◆ 2006年以降の優勝チームにおける規定打席到達捕手

【パ・リーグ】
2016年:日本ハム(不在)
2015年:ソフトバンク(不在)
2014年:ソフトバンク(不在)
2013年:楽天(嶋基宏)
2012年:日本ハム(不在)
2011年:ソフトバンク(不在)
2010年:ソフトバンク(不在)
2009年:日本ハム(不在)
2008年:西武(細川亨)
2007年:日本ハム(不在)
2006年:日本ハム(不在)

【セ・リーグ】
2016年:広島(不在)
2015年:ヤクルト(中村悠平)
2014年:巨人(阿部慎之助)
2013年:巨人(阿部慎之助)
2012年:巨人(阿部慎之助)
2011年:中日(不在)
2010年:中日(不在)
2009年:巨人(阿部慎之助)
2008年:巨人(阿部慎之助)
2007年:巨人(阿部慎之助)
2006年:中日(谷繁元信)

◆ 12球団最後の規定打席到達捕手
※捕手登録も捕手としての出場が少ない選手は含まない

【日本ハム】
2004年:高橋信二
115試 率.285 本26 点84
※09年に捕手登録の高橋信二、15年に近藤健介が規定打席到達も捕手としての出場が少ないため含まない。

【ソフトバンク】
2009年:田上秀則
138試 率.251 本26 点80

【ロッテ】
2009年:里崎智也
124試 率.234 本10 点49

【西武】
2015年:炭谷銀仁朗
133試 率.211 本4 点35

【楽天】
2013年:嶋基宏
134試 率.257 本4 点48

【オリックス】
2013年:伊藤光
137試 率.285 本3 点40

【広島】
2008年:石原慶幸
123試 率.265 本9 点50

【巨人】
2016年:小林誠司
129試 率.204 本4 点35

【DeNA】
2007年:相川亮二
123試 率.302 本2 点33

【阪神】
2010年:城島健司
144試 率.303 本28 点91

【ヤクルト】
2015年:中村悠平
136試 率.231 本2 点33

【中日】
2012年:谷繁元信
134試 率.228 本5 点32