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侍ジャパン

WBC世界一奪還の鍵となる後半での継投を模索 抑え候補の一人・山﨑康晃が信頼回復の3人斬り!

WBC本番でも抑え候補の一人となる山﨑(横浜DeNA)

WBC本番でも抑え候補の一人となる山﨑(横浜DeNA)


写真提供=Getty Images

強化試合「日本対オランダ」の第1戦を9対8で競り勝った侍ジャパン。大谷翔平(北海道日本ハム)の特大弾と見事な集中打で逆転、そして土壇場での同点劇からの延長10回のサヨナラ勝利…。土曜日の東京ドームは何度も歓声に包まれたが、その中で日本の3番手として登板した山﨑康晃(横浜DeNA)のピッチングにも大きな拍手が送られた。
出番は2点リードで迎えた8回表。球場内にシーズン中と同じお馴染みの登場曲、ゾンビネーションの『Kernkraft400』が流れると、そのリズムに乗せて3万人を超えるファンが「ヤスアキコール」&「ヤスアキジャンプ」を繰り出す。「うれしかったですね」と山﨑。まずは一人目。6番・リカルドを1ストライクから低めのスライダーでキャッチャーゴロに仕留めると、続く7番・ヴァンダーミーアをフルカウントからの再びツーシームでセンターフライ。最後は8番・オデュベルを再びスライダーでサードゴロ。計9球での三者凡退。スタンドから大きな拍手が沸き起こる中、ベンチ前で他のメンバーにハイタッチで迎え入れられた。
「前回やられたのが本当に悔しかった」と山﨑。2日前のメキシコ戦では9回に登板するも、1死しか奪えずに5安打3失点の乱調。ストレートは高めに浮き、ウイニングショットのツーシームも見極められ、「もっともっと精度を上げていかないといけない。まだまだです」と唇を噛んだ。だが、この日は計9球での3人斬り。「3人目を抑えて、ようやくホッとした。とにかく力尽くというよりは体全体を使って、とにかく低めに投げることを心掛けた。自身になったし、力に変えて行きたい」と笑みを見せた。
しかし、侍ジャパン全体を見ると、この日も9回に登板した大瀬良大地(広島東洋)が4安打3失点の乱調で、小久保監督も「最後に行く投手は難しい」と嘆き節。昨秋の「プレミア12」でも露呈した侍ジャパンのイニング後半の継投、そして守護神問題は依然として解決していないが、その候補の一人として山﨑の名前があることは間違いない。山﨑自身、この日の試合後も「9回に投げたいという気持ちは僕の中である」と、改めて“侍守護神”への就任に意欲を見せた。この日のような投球を続けられれば、自然とその地位が託されることになるはずだ。
合宿中から自身のSNSを通じて“侍ジャパン広報部長”としても活動して人気を集める24歳。「まだまだ」、「もっともっと」との言葉を並べるが、まずはメキシコ戦での借りを返したこと。そして自信を取り戻したことが、山﨑個人にとって、そして侍ジャパンにとっても大きな収穫になったことだろう。WBC本番に向けて、僅差となった試合でのイニング後半の継投、そして守護神の確立が侍ジャパンにとって重要な課題となる。