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打者・大谷が“打って”“走って”の大暴れ!WBC本番での起用法は新たな悩み…

侍ジャパンでも圧倒的な存在感を見せる大谷翔平

侍ジャパンでも圧倒的な存在感を見せる大谷翔平

写真提供=Getty Images

侍ジャパンの強化試合「日本対メキシコ」の第2戦に「3番・DH」として出場した大谷翔平(日本ハム)が、3打数2安打2四球3得点の大活躍。侍ジャパンの試合に野手として初のスタメンを飾った中、“打って”“走って”の働きで日本打線を力強くけん引した。
まずは初回の第1打席。フルカウントからの6球目のカーブに「追い込まれていたので広く待っていた」と巧みに対応。逆方向のレフト線を破る痛烈な2塁打を放ち、続く4番・中田翔(日本ハム)のタイムリーで先制のホームイン。3回の第2打席では、再びフルカウントからファウルで1球粘った後にしっかりと四球を選ぶと、5番・筒香嘉智(DeNA)のヒットで3塁まで進み、6番・坂本勇人(読売)の犠牲フライで難なく生還した。
そして5回には“足”を魅せた。第3打席、強引に引っ張ったファーストゴロを自らの全力疾走で内野安打にすると、すかさず「グリーンライト。行けそうだったので行きました」と二盗を決め、さらに内川聖一(ソフトバンク)のファーストゴロの間に3塁へ。続く5番・筒香の打球が一塁方向に転がると同時に「ギャンブルではない。ゴロゴーです。いいスタートが切れました」と猛然と本塁へ滑り込み、勝ち越しのホームを踏んだ。
「打ってよし、投げてよしの大谷が、走っても良いなというのを再認識しました」と小久保裕紀監督。第4打席ではレフトフライ、第5打席では四球、第6打席ではライトフライに倒れたが、2本のフライはともに大飛球で、スタメン発表時から球場のファンを大いに沸かせたという意味でも、試合を通じて「3番・大谷」の存在感は傑出したものがあった。

だが、ここで議題に上がるのがWBC本番での大谷の起用法である。今回の強化試合では「代打かDH」と制限しているが、本来は「投手を軸に考えている」と小久保監督は語る。昨季までは“二刀流”の看板を背負いながらも、その評価は“投”の比重が高く、昨秋の「プレミア12」で韓国打線を2試合13イニング3安打、21奪三振と完璧に封じ込めたパフォーマンスも強烈だったこともある。だが今季は、打率.322、22本塁打と“打”で大きく進化。今回の強化試合でも、大谷が3番に入ったオーダーを見て「少し景色が違うなと感じました」と指揮官は率直な感想を吐露した。そして何より、この日の活躍を見た誰もが「野手・大谷」のスタメン出場に大きな期待と可能性を感じたはずだ。
問題は体調面を含めたケガのリスク回避。「球界の宝なんで、僕の一存では決められない。体に負担のかからないように一番良い方法を考えたい」と小久保監督は語る。所属する日本ハムでは原則として登板2日前から投手調整を行い、登板翌日は休養日に充てられていたが、世界一奪還を目指したWBCでの“負けられない戦い”の中で、どこまで大谷に頼ることができるか。大谷自身は「使ってもらったところで一生懸命頑張りたい。マウンドでも打席でも、自分のやることをしっかりとできればと思います」と意気込んだが、果たして――。“球界の宝”の価値が上がれば上がるほど、その起用法は、悩ましい。