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準硬式からつかんだ夢…最速149キロ、楽天ドラ6鶴田が切り拓いた道

10月20日のドラフトでは、桜美林大の佐々木千隼投手が外れ1位で5球団が競合し、ロッテが交渉権を獲得するなどして大きな話題となった。そんな中で、驚きを持って迎えられたのが、楽天から6位指名を受けた帝京大準硬式の鶴田圭祐投手だ。

■高校では外野手に転向も、大学進学後に準硬式で再び投手に挑戦

 準硬式魂を見せる。

 10月20日のドラフトでは、桜美林大の佐々木千隼投手が外れ1位で5球団が競合し、ロッテが交渉権を獲得するなどして大きな話題となった。そんな中で、驚きを持って迎えられたのが、楽天から6位指名を受けた帝京大準硬式の鶴田圭祐投手だ。ドラフト前は「なんとか育成でもいいから指名が来ればいいのですが」と祈るような気持ちを口にしていたが、蓋をあけてみれば、ドラフト6位指名。「いけて育成だと思っていたので、うれしい限り」と満面に笑みを浮かべた。

 うれしさと同時に、奮い立った。

「準硬式でやってきてプロで活躍するのは難しいと思われがちだけれど、準硬式でも上のレベルで戦える選手になりたい」

 準硬式と言えば、硬式を断念した選手が自主性を重んじる環境下で伸び伸びと野球を楽しむイメージが一般的には強い。鶴田は藤井学園寒川高時代は投手として入学しながら、制球難を克服できず外野手としてプレー。自分に納得できない部分もあった。

「大学で硬式を、とも思ったが力不足だと思った。でも野球が大好きだから続けたかった」

 そんな思いで飛び込んだ準硬式。硬式に比べて、コーチはおらず練習場所もアメフト場などが主だった。マウンドがあるわけではないため、傾斜で練習できる日も限られた。

 アルバイトとも両立した。それでも「環境は硬式に比べて劣るが、今があるのは準硬式に入ったおかげ。環境を言い訳にしたくない」と言い切る。様々な事情で準硬式に転向したとしても、一度はあきらめかけたプロの道が努力次第で拓けることを身をもって示した。

■努力で拓いたプロへの道「根気強く使ってくれた。先輩方に恩返しがしたい」

 準硬式に入ったからこそ投手に再転向できた。入学当初は選手が監督を兼任している状況。「当時は主将の方が采配をしていた。本当に打たれまくって、試合をつぶしてしまうという時でも根気強く使ってくれた。そのおかげで経験を積めたし、ここまで来ることができたんです。先輩方への恩返しがしたい」。

 浅野修平監督は「最近は準硬式でプレーする選手の数も増えている。野球ができるという純粋な気持ちを生かせるし、例えば、ケガで行き場をなくした選手を再びプレーさせられるかもしれない。準硬式はそういう場所でもあると思う」と話す。指揮官は鶴田の将来を見据えて、スポーツトレーナーを養成する同大で体についての勉強やプロのトレーナーのもとに通って体作りを勧めるなど、技術以外もサポートしたという。

 硬式に比べて、日頃はなかなかスポットが当たらない準硬式。しかし、鶴田はその中で最速149キロをたたき出してプロ入りをつかんだ。

「まだまだやらなければいけないことはたくさんある。準硬式球から硬球を握ってすぐは重いなと感じていましたし。まずはしっかりキャンプを乗り切る体力を作っていきたい」

 鶴田の新たな挑戦が始まる。

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