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8回に谷合の同点2ラン含む4得点で逆転!投打の噛み合った明徳義塾が初優勝を懸け決勝へ【明治神宮野球大会】

大量15安打で静岡を下した明徳義塾だが、内容的には大苦戦だった。1回表一死満塁の好機には5番・安田陸捕手(1年)が強烈なライナーを放つが、相手投手のグラブにすっぽり。これが併殺となった時点で、馬淵史郎監督は「今日はツキがないなと思った」と覚悟したという。その後の展開を見れば分かるように、名将の予感は的中した。

8回に同点2ランを放った、谷合(明徳義塾)

馬淵監督の言葉を借りれば「序盤はもうミスばっかり」という展開。3回、4回も併殺で好機を潰し、1-1で迎えた4回には静岡の6番・小林にライト前タイムリー安打を許す。これも二塁手の藤森涼一(2年)が捕球して併殺にできる当たりで、監督が「4回の1点もノシをつけてやったようなもの」とぼやくミスだった。

ただ相手ペースで進む試合展開の中に、監督の「自信」を垣間見えた采配があった。2点ビハインドの7回表一死1,3塁で3番・菰渕太陽(内野手/2年)が打席に入った場面を、馬淵監督はこう振り返る。

「カウントさえよければスクイズをさせて2-3にして、2アウト二塁で4番ということも考えた。今までだったら多分そうしていたと思う。でもそこで3番4番が打てなきゃあかんと思って打たせた」

明徳は結果的に3番、4番が凡退してこの回のチャンスを逃した。しかし8回表には無死から5番・安田が二塁打を放ち、6番・谷合悠斗(外野手/2年)が同点2ラン本塁打。さらに集中打を浴びせてこの回一挙に4得点を奪い、試合をひっくり返した。

谷合は1年夏の甲子園から主軸を打っていた右打者だが、この試合は6番に控えていた。馬淵監督はこう説明する。「谷合が当たってないから6番に下げとこうといっても、今までは変わる人間がいないから4番のままだった。6番があそこで同点ホームランを打つんだから、そういう点で(新チームは)層が厚いね。(谷合は)当たってきたら4番に戻すつもりです」

「2018年バージョン」の明徳義塾は小技や守備に課題を残すものの、下位打線まで長打を打てる破壊力を秘めている。悪い流れをひっくり返した準決勝はそんな打力、地力を証明する展開だった。

投手陣にも右サイドハンドの市川悠太(2年)という絶対的な柱がいる。馬淵監督はエースの状態について「内転筋にテーピングしている。今日は70%か80%」と説明するが、準決勝は中1日の登板ながら被安打5で初戦に続く完投勝利。9回にはこの日最速の142キロを計測している。ただ馬淵監督は9回の投球について、別の視点から評価する。

「打たれるときは一本調子になって打たれるけど、変化球を混ぜながら投げていた。あの辺は成長したかなと思う」。市川はスライダーに加えてフォークが有効でこの試合は8奪三振。エースの仕事を果たした。

変化球を使い8奪三振した市川(明徳義塾)

投打の噛み合った明徳義塾が初優勝を懸けて対戦するのは創成館。馬淵監督にとって稙田龍生監督は「別大附(現明豊)のときに阿部企業へ来ないかと僕が誘った選手」という因縁の相手で、両校はこの10月に長崎県内で練習試合もしている。

1ヵ月前は明徳義塾が二桁点差で勝利したとのことだが……。馬淵監督は「あのときのチーム、選手が違う。練習試合をやって大勝しているというのはプラスにならんね。ウチらの選手が安易に思うから」と油断を戒めていた。

★準決勝・明徳義塾高vs静岡高
明徳義塾 010000040=5
静岡   100101000=3

【静】鈴木、春―黒岩
【明】市川―安田
本塁打:明徳義塾・谷合《8回2ラン》

文=大島和人 写真=伊藤華子