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高校野球

日大三1年生・井上の好リリーフも日本航空石川にサヨナラで敗れる 【明治神宮野球大会】

日大三は先発の中村奎太投手(2年生)、二番手の林玲介投手(2年生)が相次いで打ち込まれ、4回途中に1-6と5点差をつけられる厳しい試合展開だった。4回裏無死2塁という厳しい状態でマウンドを任されたのが、井上広輝投手(1年生)だ。

井上は追加点を許さずにこのピンチを乗り切ると、そのまま素晴らしい投球を見せる。神宮球場のスピードガンに表示された本日の最速は142キロ。スライダー、チェンジアップ、シンカーといった変化球も有効だった。

日大三打線は6回に3点を挙げて2点差に迫ると、7回、9回に1得点ずつ加えて試合は同点に。井上は4回途中からの6イニングを被安打4、8奪三振、無四球という内容で乗り切り、6-6の同点で9回を終えた。

小倉全由監督は多少の後悔を滲ませつつ、こう述べる。「林は変化球が良いので、何とかかわしてくれるときたして送りましたが、長打で簡単に取られてしまった。(二番手は)井上でも良かったなって。ただまだ1年生なので、あまり投げさせたくないというのがある。井上が9回しっかり投げられて、自分が自信をもって(マウンドに)送れるピッチャーにしていかないとダメだなと思いました」

10回裏のタイブレークは井上にとって苦い経験となった。日大三は表の攻撃で得点できず、彼は無死1、2塁から始まる日本航空石川の攻撃を無得点に抑える必要があった。

井上は3番・原田竜聖にライト前安打を許して無死満塁と追い込まると、その後のバッテリーエラーで失点。日本航空石川にサヨナラ勝ちを許してしまった。

井上は振り返る。「あの打者(4番・上田優弥)はストレートが強いと考えて、チェンジアップや変化球で振らせてから、得意のストレートで抑えようと思ったんですけど……。それをコントロールできなかった」

しかし井上が見せた投球は18年春の選抜大会、夏の選手権に向けて間違いなく期待を感じさせてくれるものだった。

井上の兄・大成(日大三高3年)は侍ジャパンU-18のメンバーとして第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップに参加していた強肩強打の三塁手。井上が日大三高入りを決めた理由は兄の影響に加えて「2011年夏の甲子園で優勝したあの破壊力や、吉永(健太朗/現JR東日本)さんの完璧なピッチングが凄いなと思って三高に憧れをもった」という背景もあった。

井上が高校入学後に投げ始めたシンカーは、吉永が投げていたものと似た球速、球筋で縦に沈む。彼も「吉永さんのシンカーは憧れていて、それで投げてみたいと思いました」と明かす。

彼の鋭い腕の振り、球速やボールの切れを見れば才能は明らかだが、まだ課題はある。井上自身も「(日本航空石川戦は)長いイニングで、しかも緊迫した試合ということで疲れが出た。そこで持つ体力をつけたいと思います」と今後への抱負を口にしていた。

2018年、そして19年に向けた1年生右腕の成長に期待したい。

★1回戦・日大三vs日本航空石川

日大三 0001031010=6
日本航空石川1013000001X=7
【航】重吉、杉本、○大橋―井岡
【三】中村、林、●井上―齊藤、佐藤英