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プロ野球

西武の“助っ投全滅”を阻止した救世主 ウルフの残留が決定


◆ “助っ投”クジに敗れた西武

 「4勝10敗」――。

 この数字が何かというと、今シーズンの西武の外国人投手たちが残した成績である。

 今年の西武が抱えた外国人投手は総勢5名。2人がシーズン途中から加入し、1人はシーズン途中で自由契約となった。それぞれの成績は以下の通りだ。

【2016年・西武の外国人投手】
フェリペ・ポーリーノ   9試(44回) 0勝6敗 防4.70 ※5月31日に支配下登録
エスメルリング・バスケス 19試(16.1回) 0勝0敗 防5.51
アンディ・バンヘッケン  10試(16.2回) 0勝4敗 防6.31 ※7月22日に自由契約
C.C.リー(李振昌)    18試(45.2回) 0勝0敗 防6.48
ブライアン・ウルフ     4試(23.2回) 4勝0敗 防3.04 ※7月20日に支配下登録
―――――
合計:60試合(146.1回) 4勝10敗 防5.22

 中でも大きかったのが、目玉補強だったバンヘッケンの誤算。韓国でシーズン20勝を挙げた経歴を引っさげて日本にやってきたが、開幕から1カ月もたずに二軍落ち。6月から一軍に復帰したが、また1カ月で二軍へ。白星を掴むことができないまま、7月20日に自由契約となってしまった。

 そこでチームは慌ててポーリーノを獲得するも、6月28日の来日2試合目から8月3日にかけて6連敗。援護に恵まれなかったり、中継ぎが打ち込まれてしまったりという場面もあり、不運な部分もあったとはいえ、それにしても負けすぎたところは否めない。

◆ 全滅の危機を救ったウルフ

 にわかに囁かれ始めた“助っ投全滅”の危機…。これを救ったのが7月に加入したウルフであった。

 日本ハムやソフトバンクで計6年ものNPBでのキャリアを持つとは言え、今シーズンは未所属のままアメリカで練習を続けていたというから当初は不安もあった右腕。

 それだけに西武でのデビューは登録から1カ月以上経った8月28日となったが、この試合で日本ハムを相手に6回2失点で勝利。嫌な流れを断ち切ってみせる。

 すると9月はロッテ、ソフトバンク、オリックスと3連勝。6回と1/3というのが最長イニングではあったが、自責は最大で3に抑えるなど全登板でしっかりと試合を作った。

◆ きになる来季の陣容は…

 来年で37歳を迎えるウルフだが、西武残留が決定。“浪人”状態から脱出し、来季の職場も勝ち取った。

 現時点でチームの外国人選手はメヒアとウルフ、郭俊麟の3名。一軍登録が可能な外国人選手の枠は「4」と定められているが、近年は比較的安価なコストで複数の外国人選手を獲得し、調子を見ながら入れ替えていくという方式が増えてきているだけに、今季苦しんだ西武はどんな体制を敷いていくのか。注目が集まる。

 この秋のキャンプでは元カブスのブライアン・シュリッターを参加させるなど、はやくも動き始めている助っ人人事。来季の逆襲に向けて、今年の失敗を糧とすることができるだろうか。

▼ ブライアン・ウルフ
生年月日:1980年11月29日(35歳)
身長/体重:191センチ/104キロ
投打:右投右打
ポジション:投手
経歴:ブルージェイズ-日本ハム-ソフトバンク-西武
[今季成績] 4試(23.2回) 4勝0敗 奪三振8 防御率3.04
[通算成績] 130試(571.1回) 43勝32敗3セーブ 奪三振300 防御率3.21