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V2向かう広島、低迷期支えたベテランが引退&戦力外 黒田博樹は有終の美


25年ぶりのリーグ優勝を飾った広島。日本シリーズでは2勝4敗で日本ハムに敗れ、1984年以来、32年ぶりの日本一とはならなかったが、2016年の野球界を多いに盛り上げた。

■25年ぶりVの広島、複数のベテランが引退&戦力外に

 25年ぶりのリーグ優勝を飾った広島。日本シリーズでは2勝4敗で日本ハムに敗れ、1984年以来、32年ぶりの日本一とはならなかったが、2016年の野球界を多いに盛り上げた。

 田中、菊池、丸の同級生トリオでチャンスメイクし、新井、そして今季大ブレイクした鈴木で返す得点パターンを確立。投手陣もジョンソン、野村、黒田の3本柱がきっちりと試合を作り、今村、ジャクソン、中崎の勝利の方程式も抜群の安定感を誇った。就任2年目の緒方監督の采配もさえ、低かった前評判を覆し、2位巨人に17.5ゲーム差をつける独走Vだった。

 伸び盛りの若手が多く、早くも来季への期待も高まるが、一方で今季限りでカープのユニホームを脱ぐベテランもいる。

 ここで今季限りで引退、戦力外となった選手のこれまでの実績を見てみたい。

○黒田博樹(引退)
プロ20年目。日本通算321試合に登板。124勝105敗1セーブ、防御率3.55。米国通算212試合に登板。79勝79敗、防御率3.45。

 言わずとしれたレジェンド。1996年ドラフト2位(逆指名)で広島に入団。2001年に12勝を上げると、メジャーに移籍する07年まで6度の2桁勝利。04年のアテネ五輪では銅メダルに貢献。05年には15勝で最多勝。06年には防御率1.85で最優秀防御率を獲得した。

 07年のオフにFAでドジャースに移籍。12年からヤンキース。メジャー在籍7年で5度の2桁勝利をマークした。14年オフには20億円とも言われた巨額オファーを蹴って、広島に電撃復帰。今年7月には日米通算200勝を達成した。日本シリーズ開幕前に今季限りでの引退を表明。背番号15は永久欠番となった。

■倉&廣瀬は引退決断

○倉義和(引退)
プロ19年目。通算719試合出場。打率.217、23本塁打、126打点。

 97年ドラフト5位で入団。安定感のある守備と強肩を買われ、1年目から1軍で出場。05年には自己最多の109試合に出場。07年には7本塁打、打率.274と打撃でもしぶとさを見せた。またドジャース移籍前の黒田とバッテリーを組むことが多かった。08年からは選手会長。昨季から2軍バッテリーコーチを兼任していたが、来季からは専任となる。

○廣瀬純(引退)
プロ16年目。通算978試合出場。打率.273、51本塁打、253打点。ゴールデングラブ賞1回。

 法大では00年のシドニー五輪に出場。同年のドラフト2位(逆指名)で入団した。1年目から80試合に出場し、打率.286と活躍したが、なかなかレギュラーには定着できなかった。開花したのは10年。自身初の規定打席に到達し打率.309、12本塁打と好成績を残し、オールスターに出場。ゴールデングラブ賞にも輝いた。13年には日本プロ野球新記録の15打席連続出塁をマーク。しかしここ2年は1軍での出場がなかった。今後は解説者の道に進む。

■“Aクラス請負人”も戦力外に

○久本祐一(戦力外)、
プロ15年目。通算248試合に登板。12勝8敗10ホールド3セーブ、防御率3.38。

 在籍した球団がAクラス入りするため、Aクラス請負人と呼ばれた。01年ドラフト4位で中日入団。2年目には中継ぎとして自己最多の53試合に登板した。04年にはリーグ優勝に貢献。07年の日本シリーズでも登板した。12年に中日から戦力外通告を受けたが、その後広島が獲得。移籍1年目の13年は43試合に登板し、初のCS進出へ貢献した。14年に左肘を痛め、オフに手術し育成契約に。15年オフに再び支配下契約を結んだが、今季は1試合の登板に終わった。経験豊富な左腕は現役続行を希望している。

○中東直己(戦力外)
プロ10年目。通算315試合出場。打率.233、2本塁打、16打点。

 06年の大学生・社会人ドラフト5位で入団。身長168センチと小柄だったが、堅実な守備と俊足で1年目から試合に出場。外野手登録だが、捕手も務めるなど貴重なバックアッパーとして欠かせない選手だった。14年には代走や、守備固めで自己最多の86試合に出場し、チームのCS進出に一役買った。昨季は9試合、今季は初めて1軍出場なしで、戦力外通告を受けた。

 栄光をつかんだ一方で、低迷期を支えたベテランたちがチームを去った。その存在が今の若手たちに与えた影響は大きいはずだ。黒田を別にすれば、今季、表舞台でこそ輝けなかったが、彼らの積み重ねてきた歴史に拍手を送りたい。

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