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【高校野球】大舞台での再会に胸躍らせる仙台育英捕手 忘れられない元同僚・清宮の衝撃


第47回明治神宮野球大会が11日、明治神宮野球場で始まる。2012年と14年に大会を制している仙台育英(宮城)が2年ぶりに出場。4番・捕手の尾崎拓海(2年)は、中学時代のチームメイトとの対戦を楽しみにしている。

■元同僚捕手、仙台育英・尾崎が語る清宮の衝撃「自分の目で見るのが楽しみ」

 第47回明治神宮野球大会が11日、明治神宮野球場で始まる。2012年と14年に大会を制している仙台育英(宮城)が2年ぶりに出場。4番・捕手の尾崎拓海(2年)は、中学時代のチームメイトとの対戦を楽しみにしている。

「いいね! 伸びてる!」「OK! ナイスボール! もう1球!」

 仙台育英のブルペンに正捕手・尾崎の威勢のいい声が響く。エース左腕・長谷川拓帆(2年)ら投手陣の投球をその左手でしっかりと受け止め、ボールがよくなければ「全然、曲がっていないよ!」と指摘した。

「自分は影で長谷川らピッチャーを支えていけるように頑張りたいです」

 やや控えめな決意表明に人柄がにじむ。打っては4番。「前に突っ込んだり、のびあがったりしていたけど、昨日、バドミントンの羽打ちをしたら今日のバッティング練習は良かったです」と調子を取り戻して本番を迎えられそうだ。

 尾崎は中学1年まで捕手だったが、その後は主にレフトを守っていた。高校では捕手としてプレーしてきた。しかし、現チームになり、まだレギュラーが固まらないまま公式戦を迎え、宮城県大会の中部地区予選は外野を守った。県大会から捕手に戻ると全4試合を無失点で勝ち上がり、「まだまだですが、自信にはなりました」。

■「猛肩」と評される尾崎、清宮の第一印象は「デカかった」

 東北大会でもエース・長谷川、センターから2番手で登板した佐川光明(2年)、ショートから3番手で登板した西巻賢二(2年)を好リードし、優勝に貢献した。佐々木順一朗監督は一度、外野手を経験した尾崎について、「今になって思えば、よかったと思います。外(そと)を経験したことでキャッチャーというポジションと向き合うようになった」と話す。

 佐々木監督は尾崎の肩を「猛肩」と表現する。エース・長谷川も「ランナーが出た時、ランナーの足をそんなに気にしないで投げることができるので、肩の面では信頼しています」と話し、「配球も前は首を振ることが多かったけど、今は投げたいボールのサインを出してくれる。息が合ってきています」と信用している。

 尾崎には明治神宮大会で再会を楽しみにしている球友がいる。調布シニア時代のチームメイト、早実の清宮幸太郎主将(2年)だ。

「めっちゃ、楽しみです。一緒に写真を撮ろう、とか言っています(笑)」

 清宮は中学1年の夏にリトルリーグの世界大会が終わってから調布シニアに入団したが、軟式の少年野球でプレーしていた尾崎は中学1年の春から入団。「第一印象? デカかったですね。清宮はもう1人のチームメイトと来たのですが、もう1人の方が小人に見えました(笑)」と懐かしむ。

■忘れられない清宮の最初のバッティング練習、「115メートルくらい打った」

「打者としてもですが、最初はピッチャーとしてすごい選手が入ってくるという噂があったんです。清宮が最初の練習の時、バッティング練習で清宮がバッター、自分がバッティングキャッチャーをしていました。そしたら、いきなりホームラン。115メートルくらい打ったので、すごいなと思いましたね。この前(東京大会決勝)、5三振していましたが、清宮はミート力が高くて三振はあまりしない選手。選球眼もあるし、フライもすごく高いです」

 中学時代は清宮が3番を打ち、尾崎が5番を打った。時折、その逆もあったという。

 小学生時代から有名だった清宮は、高校1年から甲子園を沸かせ同世代をリードする存在になっている。尾崎は自主性を重んじる仙台育英に魅力を感じて進学。「清宮がホームラン第◯号など情報があると、練習に熱が入った」と背中を追いかけ、この秋、正捕手の座をつかんだ。そして、互いに勝ち進み、明治神宮大会出場にこぎつけた。

「対戦したら長谷川がどれくらい通用するか楽しみ。この前(東京大会決勝)は縦のスライダーで三振していたので、使ってみたいです。高校通算74号も打っているけど、自分には実感がないんですよね。清宮がどれくらいになっているのか、自分の目で見るのが楽しみです」

 仙台育英と早実は、決勝で当たる組み合わせ。それまで負けるわけにはいかない。

高橋昌江●文 text by Masae Takahashi

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