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FA宣言のホークス森福、年俸1億円超えも“お買い得”なワケ


11月4日、ソフトバンクの森福允彦投手(30)が、今季中に取得していた国内フリーエージェント(FA)権を行使することを表明した。球団事務所のあるヤフオクドームに、代理人を伴って訪れると、FA申請の書類を提出した。

■争奪戦の可能性も? “1億円選手”森福は他球団にとってなぜ“お得”なのか

 11月4日、ソフトバンクの森福允彦投手(30)が、今季中に取得していた国内フリーエージェント(FA)権を行使することを表明した。球団事務所のあるヤフオクドームに、代理人を伴って訪れると、FA申請の書類を提出した。

「本日FA権の申請を球団に提出させてもらいました。他球団の話を聞いて、どう評価されているか聞いてみたく、こういう形になった」と語った森福は07年に大学・社会人ドラフト4位でシダックスからソフトバンクに入団。11年からは4年連続で50試合以上に登板し、貴重な中継ぎ左腕として活躍した。13年には日本代表としてワールドベースボールクラシックにも出場。昨季は不振に陥り、32試合登板に終わったが、今季は2年ぶりとなる50試合に登板。2勝1敗16ホールド、防御率2.00の成績をマークした。

 左サイドスローの変則左腕は今季の推定年俸1億2000万円。決して低くない年俸ながら、市場では“お得感”を持たれ、複数球団が興味を示しているといわれる。他球団との交渉が解禁となる11日から争奪戦がスタートしそうである。

 しかし、森福は球界でも数少ない1億円プレーヤーであるにもかかわらず、なぜ“お得”なのか。そこには、FA市場でのルールが関わってくる。

■森福は高年俸にも関わらずCランクの位置づけ

 FA権を行使した選手を獲得する球団は、移籍元の球団に補償をしなければならない。この際に選手はAランク、Bランク、Cランクに分類される。Aランクは前球団の年俸の上位3人(日本人選手に限る)の選手、Bランクは同じく4位から10位の選手となり、それ以下がCランクとなる。

 Aランクの場合の補償は、人的補償ありの場合、移籍先球団が設定した28人のプロテクト枠から外れた選手のうち、移籍元球団が指定した1人の選手を与え、さらにFAで獲得した選手の旧年俸の50%の金銭を支払わなければならない。人的補償なしならば、旧年俸の80%を移籍先球団が移籍元球団に支払わなければならない。

 Bランクの場合でも、人的補償ありならば、同様に選手1名を与え、旧年俸の40%の金銭を支払う。人的補償なしであれば、旧年俸の60%の金銭を支払わなければならない。これに対して、Cランクの選手に対しては、一切の補償は必要ない。このように、規約で定められているのだ。

 そこで、森福である。今季の推定年俸1億2000万円の左腕だが、球界トップの高額年俸者が集まるソフトバンクだけに、なんと11位以下のCランクに位置しているというのだ。

■現時点でのFA宣言選手でCランクは森福だけ

 年俸上位には、推定4億円とされる和田毅、摂津正、松坂大輔をはじめ、五十嵐亮太、内川聖一、松田宣浩、柳田悠岐など大物がズラリと並んでいる。そんなソフトバンクだからこそ、森福ほどの実績を残し、高額な年俸の選手でも、補償不要で獲得出来る状況が生まれたのだ。

 年俸1億2000万円は、他球団にとっては決して安くない金額ではある。広島や中日などではAランクに該当する額だ。それでも、一切の補償が必要ない点は他球団にとっては魅力的なのだ。

 FAの申請期間は9日まで。森福のほか、西武・岸孝之、オリックス・糸井嘉男が既にFA権行使を表明し、DeNAの山口俊、日本ハム・陽岱鋼も行使が濃厚だとされている。

 ここに挙げた5選手の中で、Cランクは森福だけ。10日にFA宣言選手が公示され、11日から他球団との交渉が可能となる。左腕は他球団との交渉と並行し、ソフトバンクとの交渉も続けていくとしている。果たして、左キラーの変則左腕は来季、どこのユニホームを着ているだろうか。

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