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HOT GAMES 門倉健が斬る『9月26日 福岡ソフトバンクホークス 対 千葉ロッテマリーンズ』

両リーグともに優勝が決まり、早1週間強。ストーブリーグの話題も日に日に増えてきているが、先のCSに向けて、Aクラス争いも加熱しており、レギュラーシーズンの熱はまだ冷めそうにない。優勝チームにとっては、絶対に負けられないCSに向けての調整時期となるが、この期間の過ごし方が非常に難しいのは、過去の歴史からも明らかである。今回はパ・リーグのチャンピオンチーム・ホークスの戦いぶりについて、門倉健氏に語ってもらった。

——優勝が決まってから、あっという間に1週間近くが過ぎました。レギュラーシーズンは間も無く終わりですが、順位争いなど、まだ見どころは多いです。

「そうですね。最近は消化試合が少ないですし、選手たちはモチベーション高くプレーできていると思います」

——シーズン終盤となると、モチベーションは変わってくるでしょうか?

「シーズン中より、大事な時期だと思いますね。この時期にアピールできるかで、上位チームであればCSで自分が出場できるかということにもなりますし、下位チームでも来季に向けてのアピールになるわけです。当然ですけど、ここでどれだけ自分の実力を示せるかというのは非常に大事ですよね。個人タイトルがかかっている選手もいますし。私も、プロ1年目は7月に一軍で初マウンドに上がり、そこからシーズン最後まで一軍で投げることができたおかげで翌年、自分のポジションを獲得することができました。選手に慢心みたいなものはないと思います。ただ、優勝チームにとっては難しい時期かもしれませんね」

——カープはここ10試合で6勝と勝ち越していますが、ホークスは10試合で4勝と少し低調です。

「そうですね。カープは相変わらずかなと思うんですけど、ホークスはここ10試合の中で、武田、東浜、そして千賀という先発陣にそれぞれ黒星がついたのが少し気になります」

——不安材料ということでしょうか?

「そこまで深刻なものではないと思いますが、いずれも早い回に失点を重ねての敗戦なんですよね。なにかを試すにしても、あまり序盤に失点を重ねてしまうと印象的に良くないですよね。しかも、東浜投手と千賀投手はCSでも当たる可能性のある楽天相手の敗戦です。まあレギュラーシーズンのうちにやられてしまうほうが、いいことにはいいですし、引きずることはないと思いますので問題ないとは思うのですが、いい終わりにはならなかったなという印象が残りました」

——CSに向けて、キーマンとなりそうな存在はいますか?

「どうしても私はピッチャー中心に見てしまいますが、バンデンハークに注目しています」

——20日のゲームでは、6回1失点の内容で久々の勝利を挙げています。

「そうですね。8月末の登板から、3試合連続で勝ち星がなく、2敗を喫していたのですが、久々の好投で13勝目を挙げました。実は、バンデンハーク投手は私が韓国の三星ライオンズでコーチをしている際に指導をさせてもらった縁があります。韓国時代のころから彼の課題は、ストレートが散りやすいところにあります。今季は13勝していますが、少しその悪いところが出ることが多かった気がします。例年よりもフォアボールも多かったですし、20日の試合でも立ち上がりで少しボールが高く、連打を許していましたよね」

——たしかに1失点でしたが、7安打を許しています。

「3回に点を失ってからは、彼らしい投球が戻ってきたように思いますね。いいも悪いも、彼の投球の軸は独特のナックルカーブです。長身で、球威もある投手ですが、カウントもとれ、決め球にも使えるナックルカーブがしっかり請求できるか否かでその日の投球内容が変わってきます。この日は中盤以降にしっかり修正して、三振も8つ奪っていましたので、いいときの彼のピッチングだったように思います。この投球ができれば、CSでも楽しみですよね」

——キーマンとなりそうですね!

「そうですね。ファンの皆さんなら当然知っていると思うんですが、今季は西武を相手に5試合を投げ、4勝を挙げています。その意味でも、西武が勝ち上がってきた場合には特に彼の存在が大きくなりますし、ハマったときには手がつけられないピッチングができる投手ですから、頑張って欲しいなと思います」

——ありがとうございました。

※ちなみに28日の西武戦、ローテーション順でいけばバンデンハーク投手の登板でしたが、武田投手が予告先発。CSに向けての駆け引きがいよいよ始まっています


門倉健(かどくら・けん)
球歴:聖望学園高→東北福祉大→中日→近鉄→横浜→巨人→カブス他
アメリカ、韓国を含め7球団を渡り歩き活躍した右の本格派。190㎝を超える長身から投じる角度ある直球とフォークボールを武器に、先発・中継ぎ・抑えの全てを経験。2005年には奪三振王のタイトルを獲得した。引退後は韓国・三星ライオンズでコーチを務めた。埼玉県出身。右投げ右打ち。投手。公式ブログ(https://ameblo.jp/kadokura-ken/)。