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HOT GAMES 西山秀二が斬る『9月18日 阪神タイガース 対 広島東洋カープ』

9月18日、ホークスに一歩遅れる形でカープがリーグ優勝を決めた。25年ぶりのVから、今度は見事連覇。終盤、マジックが点灯したり消えたりという時期はあったものの、黄金時代の到来を感じさせるような堂々たる戦いぶりでの優勝だったと言ってよいだろう。優勝が決まった2位・阪神との直接対決を観戦した西山秀二氏に、優勝決定試合と、今季の戦いぶりについても振り返ってもらった。

——ついに優勝が決定しました。優勝決定の可能性が生まれてから5日、少し足踏みしましたが、見事連覇達成です。

「ついに決めましたね。本当は地元(広島)で決めたいところもあったとは思いますけど、無事決まってよかったですよね。直接対決で決められなくて、試合がない日に決まってしまうよりはよかったんじゃないですか?(笑)」

——そうですね(笑)。今年のチームの代名詞とも言える、“逆転”での勝利ではありませんでしたが、点差以上の強さを感じさせるような僅差での勝利でした。

「初回に幸先よく先制して、終盤も追いつかれた直後の回に勝ち越し点を奪っています。阪神は岩崎が誤算でしたね(2四球で降板)。彼のような、ボールのキレで勝負する投手は、丁寧に行きすぎると裏目に出てしまうことが多いんです。この試合はまさに、そこが出てしまった形ですよね。結果的に、彼が出したランナーが返って、広島が勝ち越しています。同点ということで気持ちが入りすぎたのかもしれません」

——ホーム側の応援がすごい甲子園球場でしたが、この日は広島側の応援団もたくさん入っていました。

「そうでしたね。いろいろな球場を赤くしている広島ですけれど、さすがにいつも以上でしたね。本拠地と変わらないといったら言い過ぎかもしれませんけれど、すごい光景でしたね」

——ズバリ、広島が連覇できた要因は?

「ひとつは“競争”にあったと思います。若手でも、ベテランでも、外国人でさえも、レギュラーや勝ちパターンだからといって定位置を与えることはしなかった。この試合の起用法にも象徴されていましたよね。優勝決定戦となると、なにか功労者だったり、今年の形で締めがちですけれど、最後には今年23セーブを挙げている今村ではなく、中崎がマウンドに上がり、試合を締めました。ジャクソンの起用なんかも象徴的です。調子が悪かったら、セットアッパーから外して早いイニングで起用したり、少し休ませて、ここぞというときには要所で起用する。野手にしてもそうです。レギュラーが固まっているようにも見えましたが、選手の入れ替え自体は多かった。良い具合にチームが回っていたように思います」

——昨年、レジェンド・黒田博樹投手が引退され、その穴を心配する声も少なくありませんでした。

「そこはね、私は心配していませんでした。誰かがいなくなったら誰かが出てくるものなんですよ。実際、春先には岡田や大瀬良といったピッチャーがそこに収まるかなという雰囲気を出してきました。彼らも一定の成績を残しましたし、最終的には薮田投手がそこを勝ち取りましたよね。もう、MVPといってもよいぐらいの活躍だったと思いますよ」

——投打に充実し、黄金時代の到来を予感させます。

「そうですね。まだ働き盛りの選手が多いですし、これからも優勝する!とは言い切れませんけど、間違いなく優勝争いはするチームではあると思いますよ。あとは他球団が今年の結果を受けてどう動くかですね。選手も若いですし、衰えを待っていてもまだまだきません。今年も大型補強した巨人や、2位で終わりそうな阪神がね、どのようなオフを過ごすかというのは注目ですね。まあまだね、これからCS、日本シリーズと戦いが続きますから、まずはその戦いを見届けてからオフの動向を見守りたいと思いますね」

——ありがとうございました。


西山 秀二 (にしやま・しゅうじ)
球歴:上宮高→南海→広島→巨人
広島黄金期を支えた“鯉”女房。85年のドラフト4位で南海に入団。87年途中に広島に移籍すると、93年から達川光男の後を受けて正捕手の座を掴み、94年、96年とベストナイン&ゴールデングラブ賞受賞。05年に巨人に移籍し、引退後は巨人のバッテリーコーチとして手腕を振るった。大阪府出身。右投げ右打ち。捕手。