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V奪還目指すホークスにのしかかる課題 「ポスト細川」は誰に?


来季、ソフトバンクにのし掛かる「課題」がある。「ポスト細川」の育成である。

■注目の正捕手争い、「ポスト細川」を探る

 日本ハムに11.5ゲーム差をひっくり返され、世紀のV逸を喫したソフトバンク。昨季よりも2週間ほど早く、宮崎での秋季キャンプをスタートさせた。初日から投手、野手問わず、厳しいランニングメニューが課されるなど、ハードな練習を行い、V奪還に向け、汗を流している。

 その来季、ソフトバンクにのし掛かる「課題」がある。「ポスト細川」の育成である。

 今オフ。終盤戦に扇の要として出場していた細川亨捕手の退団が発表された。戦力構想から外れ、球団からバッテリーコーチ就任を打診されたものの、現役続行を希望。6年間在籍したソフトバンクを退団し、他球団移籍の道を選んだ。

 今季はケガなどで出遅れ、開幕はファームで迎えたものの、49試合に出場。高く評価されるリード面を武器に、徐々にスタメンの機会を取り戻し、クライマックスシリーズでは7試合中5試合で先発マスクをかぶっていた。

 戦力構想から外れたのは、若手捕手への世代交代のためだという。果たして来季は、誰が正妻の座につくのか。「ポスト細川」を探ってみたい。

■「正妻」候補の筆頭格は…

 ソフトバンクには細川以外にも、35歳の鶴岡慎也、34歳の高谷裕亮の2人のベテラン捕手がいる。現実的に言えば、来季もこの2人が中心にマスクをかぶるのだろう。だが、それでは世代交代が進んだとはいえない。若手捕手の台頭。その視点でいえば、今、そこに最も近いのは、23歳の甲斐拓也(今季の登録名は拓也)か。

 10年の育成ドラフト6位で大分・楊志館高校からソフトバンク入りし、13年のオフに支配下登録された。14、15年は1軍で1試合ずつに出場。今季は6月3日に出場選手登録されると、高谷、細川の負傷離脱などもあって、9月20日に登録抹消となるまで約3か月半、1軍に帯同。その間13試合に出場(すべて途中出場)し、6月16日のヤクルト戦(神宮)ではプロ初安打も放った。

 拓也の最大の魅力は、そのスローイング。強肩を誇り、モーションも素早い。楊志館高時代には、二塁送球タイムが1秒77をマークしている。一方で打力は課題とされており、経験が浅いためリード面にも不安が残る。

 ただ、首脳陣の期待は垣間見える。高谷、鶴岡が参加免除となっている秋季キャンプでは、新しくヘッドコーチに就任した達川光男氏から頻繁に声をかけられ、工藤公康監督、達川ヘッド、清水将海1軍バッテリーコーチ、森浩之1軍作戦コーチ兼バッテリーコーチ補佐、的山哲也2軍バッテリーコーチと、指揮官とバッテリー部門の担当コーチ全員が集結し、1人居残りで行っていたキャッチング練習を見守り、指導にあたっていたという。

■パンチ力が魅力、もう一人の23歳捕手

 拓也に続くのは同じく23歳で、今季の開幕マスクをかぶった山下斐紹(登録名は斐紹)か。

 開幕1軍入りを果たし、13試合に出場。うち10試合がスタメンだった。主に摂津、和田が先発登板する試合での先発マスク。だが、開幕後、先発した試合は5戦連続で勝てないなど経験不足を露呈した。5月12日に出場選手登録を抹消されると、残り試合はファーム暮らしが続いた。

 斐紹が武器とするのは、長打も期待出来るパンチ力のある打撃面。今季の1軍では26打数6安打で打率.231だったが、ウエスタン・リーグでは69試合で193打数53安打2本塁打の打率.275と上々の数字が残っている。守備面では甲斐拓也、打撃面は山下斐紹にそれぞれ分がある。

 この2人の後に、プロ2年目の栗原陵矢、そして今季途中に支配下登録された張本優大、ドラフト3位で指名した九鬼隆平が続く。果たして細川の後継者は拓也か、斐紹か、それとも――。来季、ソフトバンクの正妻の座をつかむのは、誰になるだろうか。

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