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日ハムが10年ぶり日本一の栄冠 激闘となった日本シリーズ全6戦を振り返る


10月29日、北海道日本ハムが2006年以来10年ぶりとなる日本一に輝いた。レギュラーシーズンでは、最大11.5ゲーム差を驚異の追い上げでひっくり返してリーグ制覇。福岡ソフトバンクとのクライマックスシリーズでも存分に持ち味を発揮して勝ち進み、ついにセ・リーグ覇者の広島との頂上決戦をも4勝2敗で制した。ここでは日本シリーズにおける日本ハムの戦いぶりを振り返りたい。

■広島の2連勝でスタートした日本シリーズ、日本ハムが見せた数々の逆転劇

 10月29日、北海道日本ハムが2006年以来10年ぶりとなる日本一に輝いた。レギュラーシーズンでは、最大11.5ゲーム差を驚異の追い上げでひっくり返してリーグ制覇。福岡ソフトバンクとのクライマックスシリーズでも存分に持ち味を発揮して勝ち進み、ついにセ・リーグ覇者の広島との頂上決戦をも4勝2敗で制した。ここでは日本シリーズにおける日本ハムの戦いぶりを振り返りたい。

〇第1戦 広島 5-1 日本ハム(10月22日・マツダスタジアム)

 第1戦が行われたのは小雨が降りしきるマツダスタジアム。日本ハムは大事な初戦のマウンドをエース・大谷に託す。しかし、「足」で積極的に攻める広島の作戦にかき乱されて先制点を奪われると、1イニングで2本塁打を打たれるなどして6回3失点。後を受けたリリーフ陣も2点を失って、手痛い敗戦を喫した。打線も相手先発・ジョンソンの前につながらず、得点は7回のレアードによる一発の1点のみ。これまでの戦いでは見られなかったミスも目立ち、投打ともに精彩を欠いた。

〇第2戦 広島 5-1 日本ハム(10月23日・マツダスタジアム)

 0勝1敗で迎えた日本ハムの先発は増井。今季シーズン途中から先発に配置転換し、両リーグ16年ぶりの2桁勝利2桁セーブを挙げた右腕だ。ここで何としても1勝を手にし、勝敗を五分に戻したいところだったが、この日も先制を許し、試合の主導権を終始広島が握る展開に。一時同点に追い付くも、6回にエルドレッドの2試合連続本塁打などで4点を失って敗北。唯一の得点も菊池のミスによるもので、内容的にも大いに不安を残す2敗目となった。

■本拠地で3連勝と巻き返した日本ハム、西川が球史に残るサヨナラ満塁弾

〇第3戦 日本ハム 4-3 広島(10月25日・札幌ドーム)

 日本ハムの本拠地に場所を移して行われた3戦目。日本ハムは初回に今シリーズ初の先制に成功するも、2回に逆転を許す。以降は両先発の有原、黒田ともに立ち直って得点を許さず。日本ハムが1点ビハインドで迎えた8回裏、2死二塁とチャンスの場面で、広島は大谷の敬遠を選択。異様な雰囲気の中、勝負を挑まれた4番・中田は、見事逆転となる2点適時打を放って1点のリードを奪い返す。9回に再び同点とされるが、延長10回裏、2死二塁で打席には大谷。もう一度敬遠か、真っ向勝負か。緊迫した場面で、明らかなボールゾーンに来た4球目に対し、大谷が技ありの一打。2連敗の嫌な流れを断ち切るように、本拠地での初戦を劇的なサヨナラ勝利で飾った。

〇第4戦 日本ハム 3-1 広島(10月26日・札幌ドーム)

 日本ハムが連敗を食い止め、1勝2敗で迎えた第4戦。先発の高梨が落ち着いた投球を見せ、3回まで両者無得点。4回表に先制を許してしまうが、6回裏に中田が一発を放ち、同点に追い付く。さらに、高梨の後を受けたバース、谷元が無失点に抑えて流れを呼び込むと、8回裏にレアードに2ランが飛び出して2点の勝ち越し。最終回、2死から四球と連打で満塁、長打が出れば逆転のピンチが訪れるも、鉄腕・宮西がしのいで2勝2敗の五分とした。

〇第5戦 日本ハム 5-1 広島(10月27日・札幌ドーム)

 勝敗は2勝2敗。勝った方が日本一へ王手をかけられる第5戦。日本ハムは先発を1年目の加藤が務めたが、大舞台での緊張もあってか初回にいきなり先制点を奪われる。2回途中からはメンドーサがマウンドに上がり、4イニングス連続、3人で攻撃を終わらせる投球を披露。中4日で先発した広島・ジョンソンを初戦と同様に打ち崩せなかったが、7回に岡が2番手の今村から犠飛を放って同点とする。そして9回裏に迎えた2死満塁の絶好機。ここまで打撃不振に陥っていた西川が、打った瞬間にそれと分かる会心の当たりで、日本シリーズ史上2人目のサヨナラ満塁本塁打。2連敗からの3戦連続逆転勝利を劇的な一打で仕上げて、10年ぶりの日本シリーズ制覇に王手をかけた。

■第6戦でも輝いた西川、レアードは値千金の満塁弾

〇第6戦 広島 4-10 日本ハム(10月29日・マツダスタジアム)

 再び広島が圧倒的な勝率を誇る敵地・マツダスタジアムで迎えた第6戦。日本ハムの先発は、第2戦で本来の力を発揮できなかった増井。初回、西川が第5戦の勢いそのままに三塁打でいきなり出塁。その後、3番・岡の適時打で幸先良く1点を先制するものの、2回裏に暴投と失策が絡んでリードを奪い返される。4回表には、田中賢の適時打と西川のこの日2度目となる三塁打などで2点の勝ち越しに成功するが、6回裏に試合を振り出しに戻されてしまう。シーソーゲームの展開が再び動いたのは8回表2死から。またもや西川からの3連打で満塁とすると、中田の押し出し四球、投手・バースの適時打、レアードの駄目押しの満塁弾で一挙6点を奪い、広島を大きく突き放した。最終回は、リリーフとして今年もフル回転してきた谷元が締め、悲願の日本シリーズ制覇。10年ぶりに12球団の頂点に輝いた。

 2016年は、最大11.5ゲーム差からの大逆転や日本シリーズでの3夜連続逆転勝利など、数々の逆転劇を生み出した日本ハムが、日本一の栄冠に輝いた。比較的若手の選手が多いチームながら、勢いだけでなく粘り強さも備え、9回裏2死まで諦めない姿勢がこのような劇的な結果をもたらしたのだろう。

 来季からは優勝チームとして扱われ、他球団からのマークも厳しくなることが予想される。来季のパ・リーグのペナントレースの展開が今季以上に白熱することを期待したい。

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

「パ・リーグ インサイト」編集部●文

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