- 高校野球
2017.07.30 20:07
東海大菅生が2年越しの雪辱で甲子園へ。早実・清宮幸太郎は仲間を思い涙【高校野球】
★背番号「11」松本健吾の好投光る
第99回全国高校野球選手権西東京大会決勝
東海大菅生6-2早稲田実(7月30日・明治神宮野球場)
東海大菅生が4年連続となる決勝戦の舞台で、2年前に涙を飲んだ早稲田実(以下、早実)を破り、17年ぶり3回目となる夏の甲子園出場を決めた。
初回から東海大菅生は、早実の先発右腕・雪山幹太投手の立ち上がりを攻め、片山昂星内野手のタイムリーで先制する。2回に早実・福元翔外野手に同点のタイムリー三塁打を打たれるが、5回に畳み掛けた。相手の送球エラーで勝ち越すと、4番の片山と奥村治内野手の連続タイムリーでこの回3点を加えた。
先発した松本健吾投手は6回に4番早実・野村大樹捕手の三塁打と自らの暴投で2点目を奪われるが、以降も連打を許さず。本塁打の危険がある3番の清宮幸太郎内野手の前にも走者を1度も出さず、高い集中力を保ってアウトを重ねた。8回には1死から清宮にライト前安打を打たれたが、続く野村を併殺に仕留めて無失点で切り抜けた
すると9回表には清宮の送球エラーと片山のタイムリーで2点の援護点をもらい、その裏を三者凡退に抑えて歓喜の瞬間を迎えた。
殊勲の松本は今夏、人一倍の反骨心を持って大会に臨んでいた。かねてから「背番号1を付けて甲子園で投げたい」と厳しい練習に励んできたが、この夏背負うこととなった背番号は「11」。メンバー発表を前にした練習試合で格下相手にふがいない投球をしてしまい、「悔しい思いをした方がいい」という若林弘泰監督の思いで、エースナンバーは後輩の戸田懐生投手に渡った。
結果的にこれが功を奏した。奮起した松本は、準々決勝の日大三戦で8回無失点に抑えると、準決勝の日大二戦では6回から無失点で好救援。そして決勝戦でも早実打線を散発の7安打2失点に抑え、投げ切った。
140km/hを超えるストレートとフォークや縦のスライダーなどの変化球を有効に織り交ぜた安定した投球に、若林監督は「甲子園ではエースナンバーを与えるつもり」と話した。
17年ぶりとなる東海大菅生の優勝旗奪還に貢献した松本は、自らの誇りも取り戻し、野球人生最高の夢舞台に向かうこととなりそうだ。
東海大菅生 100020002=6
早稲田実 010001000=2
【菅】◯松本—鹿倉
【早】●雪山—野村
★早実・清宮幸太郎主将
「悔しいです。(仲間への思いを問われしばらく涙を流し)すいません。去年、八王子に負けてから、いろんなことを仲間たちに言ってきたが、文句を言わずついてきてくれました。甲子園には行けなかったけど日本一のチームだと思います」
文=高木遊