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独立リーグ

8球団がリストアップ!4年連続盗塁王・西村徳文氏の秘蔵っ子が念願のドラフト指名を待つ 濱将乃介(福井ネクサスエレファンツ)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 独立リーグ編】

濱将乃介(はま・しょうのすけ)
●守備 内野手、外野手 ●身長・体重 181cm・81kg
●生年月日 2000年5月3日 ●所属 福井ネクサスエレファンツ
●球歴 東海大甲府高→高知ファイティングドッグス→福井ネクサスエレファンツ
●出身地 大阪府 ●投打 右左

 独立リーグ4年目となった今季、大きな飛躍を遂げた。均整のとれた体格で走攻守三拍子が揃う右投左打の外野手として、早くから注目されていたが今季は遊撃手にも挑戦。また、日本海オセアンリーグで盗塁王も獲得するなどNPB入りへの確信を深めている。

 昨年までは3年間、四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスでプレー。1年目は駒田徳広監督(現巨人三軍監督)のもとで開幕戦から3番を任されるなど公式戦62試合に出場。多くの公式戦経験を積むとともに、名球会メンバーである駒田から「打席の中での考え方、狙い球の待ち方を学びました」と一流選手のエキスを吸収した。

 また2年目、3年目はNPBで619試合に登板した鉄腕・吉田豊彦監督からシーズンを通して戦い抜ける体づくりの重要性を説かれ、全体練習の後の自主練習の後に、さらにポール間走を10本行うことを日課にした。この成果もあり「しんどくて食事も喉を通らないほどでした」という夏場にも成績が落ちることが無くなり、3年目となった昨年は67試合に出場し73安打49打点とそれぞれリーグ2位の成績を挙げるまでになった。

 だが3年目も濱の名前がドラフト会議で呼ばれず。「ドラフト候補」までは行っても、もう一歩壁を突き破れなかった。高知の環境や指導には感謝をしていたが「何かを変えなければ」と移籍を決断。今季は福井に活躍の場を移した。

 そこで濱はさらに大きな成長を遂げる。後押ししたのは千葉ロッテとオリックスで監督を務めた西村徳文球団会長兼GMだ。現役時代は俊足を生かして4年連続盗塁王などNPB通算363盗塁を果たした走塁の名手から極意を伝授された。濱もこのチャンスを逃すまいと「僕から西村さんにメッチャ聞きに行っています。盗塁では特にスタートの仕方ですね。去年まではちょっと打撃が良くて肩も強い選手。でもNPB に行くには走攻守で絶対的なものを身につけないといけません」と必死に食らいついた。
西村もまた貪欲で指導を請いに来る濱に惜しげもなく技術を伝えた。すると今季は58試合に出場し37盗塁を決めた。濱は「すべては西村さんの指導のおかげです。練習の時もマンツーマンでずっと一緒になって教えて下さったので」と感謝する。

 また出塁すれば「盗塁」の武器が生かせるとあって落ち着きも生まれ、四球も前年の17から43に、三振は55から25に。好球必打により打率は.292から.315、OPS(出塁率+長打率)は.774から.960とあらゆる数値でキャリアハイの成績を残した。

 8球団から調査書が届き、迎えるドラフト会議。これまでにない手応えを掴んではいるが、もちろん目指すところはさらにその先だ。
「凄いそわそわした気持ちですが、一軍で活躍するために今、練習しています。指名されたら嬉しいですけど、それに満足せずもっと上を目指していきたいです」

 4年間での公式戦試合出場数は257。大学・社会人とは違う場数を踏み、かつての一流選手からの叡智を吸収した濱が、次のステージに踏み出す瞬間はもうまもなくだ。

文・写真=高木遊