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社会人野球

「センバツ王者を倒した男」が3年間で急成長!超高速クイックも備える最速151キロ右腕 石黒佑弥(JR西日本)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 社会人編】

石黒佑弥(いしぐろ・ゆうや)
●守備 投手●身長・体重 180cm・80kg
●生年月日2001年6月20日●所属 JR西日本
●球歴 星城高→JR西日本
●出身地 愛知県●投打 右右

 中呉地区社会人野球の雄・JR西日本(広島市)の屋台骨を支える最速151キロ右腕。今年の都市対抗初戦の四国銀行(高知市)戦では140キロ中盤・回転数2,400回転台のストレートと、130キロ前半のフォーク、130キロ前後のスライダーを駆使。加えて某NPB球団スカウトが「プロを含めてもトップクラス」と話すタイム常時1.1秒台の超高速クイックも活用して6回3分の2を投げ5安打5奪三振2失点クオリティースタートを達成。チーム8強入りの原動力となった。

 そんな石黒は愛知県江南市の出身。小学校1年時に地元の藤里スポーツ少年団で野球を始めると、宮田中を経て星城(愛知)へ。3年時の2019年夏・愛知大会では最速146キロのストレートを軸にノーシードから8強入りを果たした。

 特に同大会2回戦では同年センバツを制した東邦を8回コールドで破る大殊勲の主役に。本人は「たまたまです」当時を振り返るが、同年ドラフト1位3球団競合となった石川昂弥(中日)に投げ勝った魂の投球は、全国の高校野球ファンに強いインパクトを与えている。

 高校卒業後は社会人野球の道へ。ストレートの球速は上がった一方で、2年目まではなかなか公式戦の登板機会に恵まれなかった石黒だが、3年目の今年は積極的に登板機会を与えられ、JABA大会で着実に実績を重ねることに。そして6月の都市対抗中国地区二次予選では6日間で全4試合に先発するタフネスぶりを発揮。三菱自動車倉敷オーシャンズとの第二代表決定戦では「変化球も腕を振って投げることを意識して」延長11回1失点9奪三振完投勝利で4年ぶり東京ドーム行きを決め敢闘賞も受賞している。

「練習後にチームの片づけを1人でやってしまうような真っすぐで素直な選手。どこを任されても全力で取り組んでくれている今の姿勢をプロの世界でも実現させてほしい」と、JR西日本・田村亮監督からのエールも背負って向かうのは同級生・石川を追ってのプロの道だ。

「1人1人を切っていこうと思ったけど、要所で連打されてしまった。引き出しの必要性を感じた」と振り返る5回途中降板で自責点6に終わった都市対抗準々決勝ENEOS戦と、体調面が整わず不完全燃焼に終わった日本選手権中国地区最終予選の反省を踏まえ、さらなるレベルアップを目指す21歳。

 その目には日本選手権でのリベンジの先にある「社会人野球で得たことを忘れず、プロの世界でもチームのために自分の力を発揮する」という理想の投手像がくっきりと見えている。

文・写真=寺下友徳