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一浪を経て入学の山本晃大がサヨナラ3ランで慶大が立大に連勝【9/27秋季東京六大学野球 立教大学vs慶應義塾大学】

9月27日、東京六大学野球秋季リーグの第3週3日目が行われ、投手戦により延長10回までもつれ込んだ試合は、4対1のサヨナラ勝ちで慶大が立大に勝利。対戦成績を2勝1分けとし、勝ち点を獲得した。

浦和学院時代は高校通算15本塁打。周囲の反対を押し切り信念を貫いて慶大に入学した山本が最終学年で大活躍を遂げている

試合を決めたのは苦労人のひと振りだった。
初回にダブルスチールで先制した慶大だったが、4回に立大の黒岩陽介(4年・静岡)に同点打を打たれ、その後は両校投手陣による一歩も譲らない試合が展開された。

 連勝で勝ち点を獲りたい慶大は8回から2試合続けて好救援している橋本達弥(4年・長田)を投入。いきなり1死一、三塁のピンチを招くが、堂々とした投球で後続に安打を許さず無失点。3イニング目となった延長10回も四球と暴投で2死二塁のピンチを招くが、相手4番の山田健太(4年・大阪桐蔭)を、粘られながらもサードゴロに抑えた。

 すると、その裏に2死二、三塁のチャンスを作り打席には山本晃大(4年・浦和学院)。ここで2球目のインコース低めのスライダーをすくい上げると、打球はライトスタンドに飛び込むサヨナラ3ラン本塁打となり、山本は悠々とダイヤモンドを1周。最後は仲間たちが待つ歓喜の輪に飛び込んだ。

「1年生から4年生、指導者も含めてチーム一丸でファミリーのような感じがした」と慶大に憧れ、一浪してまで入学。3年秋まで7打数無安打とレギュラーからはほど遠かったが、堀井哲也監督が「我慢強くコツコツとできる選手」と評すように諦めず取り組んできたことが、最終学年で花開いた。

 今春13試合に出場し打率.340、2本塁打31塁打と活躍。今秋には「ずっと憧れていた世界なので」とプロ志望届も提出した。それがプレッシャーになるどころか力に変え、2回戦の追加点を挙げたタイムリーに続く値千金の一打を放った。
 堀井監督が「もともと左利きなので、球を(左手で)押し込むこともできるし、右投げ左打ちらしく変化球にも対応できる」と話すように器用さも持ち合わせるだけに、今後もその打棒でチームと自身の未来を切り拓いていく。

歓喜の輪に飛び込む山本

■立教大vs慶應義塾大3回戦
立大 000 100 000 0=1
慶大 100 000 000 3x=4
(延長10回)
【立】池田、宮、●沖-黒岩
【慶】増居、渡部淳、○橋本達-宮崎
本塁打:慶大・山本(10回3ラン)

◎立大・溝口智成監督
「残念です・・・。(サヨナラ前の状況で)満塁策を取るか勝負をするかという中で勝負をするなら、際どいところを突いて四球でもいいからということだったのですが、2球目で長打を打たれる球を投げてしまったのは悔やまれます。(対慶大15連敗は)ジンクスとかではなく実力の差です」

◎立大・山田健太(4年・大阪桐蔭)
「4年生は入学してから慶應に1度も勝てていないので負けたままでは終われないと試合に入りました。3試合とも自分が打っていれば勝てた試合なので悔しいです」

◎慶大・堀井哲也監督
「どちらに転ぶか分からない試合でした。厳しい3試合の中で学ばせてもらいました。4年生が春に優勝できなかった悔しさを持って最後のシーズンに“やるぞ”という気持ちで臨んでくれています」

◎慶大・山本晃大(4年・浦和学院)
「外野手が前に来ていたので力まず打てば外野手の頭を越えると思っていました。打った瞬間に越えると思いました。狙ってはいませんでしたが、スライダーが浮くイメージはできていました」

3試合続けて好救援を見せた橋本。普段はクールな印象だがピンチを脱すると感情を表に出して喜んだ

文・写真=高木遊