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明大がクラスターや主将離脱を乗り越え「日々成長」。6季ぶり41回目の優勝を飾る【5/23 春季東京六大学野球 立教大学vs明治大学】

 5月23日、東京六大学春季リーグ第7週3日目が行われ、優勝に王手をかけていた明大が立大を延長11回の激闘の末に1対0で破ってサヨナラ勝ち。6季ぶり41回目の優勝を果たした。

殊勲の蓑尾の元に集まり歓喜する明大の選手たち

「勝ち点を取った方が優勝」という明大と立大の対戦は、雨天中断を含めて試合時間4時間超えの1回戦は引き分け、2回戦は3対2で明大が王手をかけたが、この日も息詰まる熱戦が繰り広げられた。

 明大・蒔田稔(3年・九州学院)、立大・荘司康誠(4年・新潟明訓)両エースの力投で8回まで両者無得点。立大は9回から沖政宗(2年・磐城)につなぎ、明大は11回から千葉汐凱(2年・千葉黎明)につないだが、それでも無失点が続いた。

 均衡が破られたのは11回裏。明大が堀内祐我(3年・愛工大名電)のヒットから1死満塁のチャンスを作ると、最後は不動の正捕手である蓑尾海斗(4年・日南学園)がライトへ犠牲フライを放ち、堀内が生還。明大が劇的なサヨナラ勝ちで優勝を決めた。

 優勝に至るまでの道のりは困難を極めた。1月、2月と新型コロナウイルスのクラスター(集団感染)が起こり、例年よりも練習とオープン戦を積むことができなかった。それゆえに田中武宏監督は「試合に向けての“調整”という言葉は無い。リーグ戦の中で日々成長していこう」と選手たちに声をかけた。
また、2月には主将の村松開人(4年・静岡)が右膝半月板損傷と診断され、クリーニング手術を受けて離脱。田中監督は「村松無しの布陣は考えられなかったので、どうしようと思いました」と振り返るが、選手たちは切磋琢磨してチーム力を向上させた。
 野手では上田希由翔(3年・愛産大三河)、宗山塁(2年・広陵)、堀内らが躍動。投手では蒔田と村田賢一(3年・春日部共栄)が枚看板として好投を続け、2人で10勝のうち9勝を稼いだ。そしてその投手陣を引っ張った4年生の蓑尾が、最後は自身のバットで激戦にけりをつけた。

 明大らしい粘り強さは健在で今季戦った試合数はリーグ最多の15試合。特に法大戦では9回2アウトから引き分けに持ち込んで連敗の危機を脱し、そこから勝ち点獲得にまで繋げた。主将の村松は6月6日開幕の全日本大学野球選手権に向けても「日々成長して明治らしい野球をしたいです」と語った。
 困難を乗り越えたからこその強さで前回出場した2019年大会に続く日本一を狙う。

前列左から村松、蒔田、蓑尾、上田。後列は田中監督

■立教大vs明治大3回戦
立大 000 000 000 00=0
明大 000 000 000 01x=1
(延長11回)
【立】荘司、●沖-黒岩
【明】蒔田、◯千葉-蓑尾

◎明大・蓑尾海斗(4年・日南学園)
「スタンドみんなで立ち上がって応援してくれていたので、この気持ちに応えないといけないと思って打席に立ちました。初球を打たないと終わると思って食らいつきました。1年の春に日本一を経験させてもらったので先輩たちに負けないように頑張りたいです」

◎明大・村松開人(4年・静岡)
「メンバーに入っている、入っていない関係なく部員全員でリーグ優勝を目標にしてきたので嬉しいです。胴上げはこんなに良いものなんだと思いました。サポートしてくれた部員、指導者の皆さんに感謝です」

悔しそうに引き上げる立大・山田健太(4年・大阪桐蔭)※写真右。「主将としても4番としても思うような結果が出せませんでした」と、試合後悔しそうに語った

号泣する荘司。溝口智成監督は「今季イチの出来。エースの投球をしてくれました」と8回2安打無失点9奪三振の好投を称えた

文・写真=高木遊