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西垣雅矢の力投、蛭間拓哉の逆転打で優勝の行方は31日の早慶戦2回戦へ【10/30 秋季東京六大学野球 早稲田大学vs慶應義塾大学】

 2021年10月30日、東京六大学野球秋季リーグの優勝を争う形で伝統の早慶戦の1回戦が行われた。慶大はこの2試合で1つでも引き分け以上があれば優勝、早大は2連勝が必須となっていたが、早大が5対3と勝利。優勝の行方は31日の2回戦に持ち込まれた。

今季は打率も伸び悩んでいたが、大事な早慶戦の前に「死に物狂いでやってきました」としっかり調整を合わせてきた蛭間

 優勝に向けて、敗北も引き分けも許されない早大が接戦を制し逆転優勝に王手をかけた。

 開幕連敗スタートから6戦負けなしで自力優勝の可能性が残る早慶戦の舞台に立った。小宮山悟監督は「このチャンスを生かせるかどうかで今後の人生は大きく変わってくるぞ」と主将と学生コーチに発破をかけたという。そして、大事な2連戦の初戦には「今の早稲田大学で一番安定感のある投手」と西垣雅矢(4年・報徳学園/楽天ドラフト6位)を先発に起用した。

 その期待を受けた西垣だったが2回に、慶大・廣瀬隆太(2年・慶應)に左中間スタンドに飛び込む2ラン本塁打を打たれて先制を許してしまう。しかし、直後の3回に、早大は福本翔(4年・早実)のタイムリーで1点を返すと、続く打席には蛭間拓哉(3年・浦和学院)。昨秋に9回2アウトから逆転本塁打を放って早大を優勝に導いた男は、今季不調に喘いでいたが、「監督をはじめいろんな方にアドバイスをいただいたので、その恩返しをしよう」と打席に立ち、レフト前にポトリと落ちる逆転の2点タイムリーを放った。
 さらにこの回、主将の丸山壮史(4年・広陵)にもタイムリーが飛び出し一挙4得点。5回にも中川卓也(3年・大阪桐蔭)にタイムリーが飛び出し5対2と早大優位な展開で試合は進んでいった。

 2回こそ失点を喫した西垣だったが、その後は「繋いでくれた打線の気持ちに応えようと投げました」と、決め球であるフォークを中心に慶大打線に反撃を許さず。8回のピンチでは両足が吊るアクシデントもあったが、志願の続投で切り抜けた。
 そして、最終回は徳山壮磨(4年・大阪桐蔭)が内野ゴロの間に1点を失うが、後続を抑えて5対3で試合を制した。

 小宮山監督は2回戦に向けて「明日も全員で、全力で勝利をもぎ取りたいです」と力強く話し、蛭間も「明日勝てば4年生ともっと長く野球ができるので恩返しをしたいです」と優勝と明治神宮大会出場を誓った。

西垣は試合後、「チームで一番ストイックなので明日やってくれると信じています」と徳山に思いを託した

■早稲田大vs慶應義塾大1回戦
早大 004 100 000=5
慶大 020 000 001=3
【早】○西垣、徳山-岩本
【慶】●森田、笠井、渡部淳、生井-福井
本塁打:慶大・廣瀬(2回2ラン)

◎慶大・堀井哲也監督
「森田の立ち上がりは良かったのですが、相手の力が上でした。正木は練習を見てもしっかりした内容で仕上げているので、自信を持って打席に立って欲しいです。チーム全員でやることはやったので明日も今日のように戦いたいです」

◎慶大・福井章吾(4年・大阪桐蔭)
「みんな自分のプレーをしっかりしたと思います。神宮で野球ができることは当たり前ではないと思っています。感謝の気持ちを持って勝ち負け以上のものをグラウンドで表したいです。今日負けて下を向いている選手は誰もいませんでしたし、簡単に勝てる相手だとも思っていません。明日もいつも通りの野球を9イニングやれたらと思っています」

敗戦にも前向きな言葉を並べた主将の福井

文・写真=高木遊