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阪神タイガース西勇輝選手インタビュー~10年続けた支援活動「これからも大事にしていきたい」


©HANSHIN Tigers

西勇輝選手はプロ3年目の2011年から日本赤十字社や日本財団子どもサポートプロジェクトなどに継続して寄付しており、2019年には「若林忠志賞」(阪神タイガースが社会貢献に尽力した球団所属選手を表彰)を受賞。毎年オフには独自でチャリティートークイベントを開催するなど日頃から社会貢献を積極的に行う西選手に、その活動に込めた思いを伺った。

――社会貢献活動を行うようになったきっかけを教えてください。

西 プロに入ってから先輩たちがいろんな活動をされているのを見ていて、自分も何か一つでもできないかなと思うようになったのがきっかけです。本当はプロ2年目(2010年)からやろうと思っていたんですけど、その年はまだ1軍と2軍を行ったり来たりで。3年目にようやくローテーションに入って1軍に定着して、自分の名前がメディアにも出るようになったので、自分が行動すれば社会問題を世の中に広めることができるかもしれないと思ってアクションを起こしました。

――寄付する団体など、支援先はどうやって決めていますか。

西 インターネットで検索して、団体のホームページなどを見てメッセージや活動内容が心に響くところがあったら「今年はここにしよう」と決めていました。当初は毎年支援先を変えていたのですが、ここ数年はずっと日本財団の子どもサポートプロジェクトにして、そのプロジェクトの中で具体的な寄付の使途を決めるようにしています。僕にも息子がいるんですけど、同じ子どもでも与えられた環境によってこんなに状況が違うんだと驚いたので、少しでも子どもたちのサポートができたらいいなという思いはありますね。支援を継続することも大事なので、少なくとも現役を引退するまでは続けたいなと思っています。

――毎年オフには西選手主催でチャリティーイベントを行っているそうですね。

西 このイベントでは、経費を除いた収益を全額寄付に回しています。自分のお金で寄付することも続けていますが、ファンの皆さんにもこういう社会問題があるということを伝えられたらな、と。でも、みんなの意識を変えようとまでは思っていなくて、“架け橋”のような存在になれればなという感じですね。一人でも多くの人に支援してもらうことで、子どもたちの未来も変わってくるので。

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――タイガースに移籍した2019年に「若林忠志賞」を受賞されました。

西 有難いことですけど、嬉しいとかはあまりなくて。目立ちたいからやっているわけではないし、いくら寄付したからすごいってことでもない。わざわざ公表しなくても見てくれている人はちゃんといますからね。でも、僕の活動がメディアなどで取り上げられることによって、例えば若い選手が「自分もやってみようかな」と思ってくれたり、ファンの人たちが社会問題に興味を持ってくれたりすればいいなとは思います。

――プロ野球選手が社会貢献活動を行うことについてはどう思いますか。

西 選手会で行っているドナルド・マクドナルド・ハウスの支援もそうですけど、こういった活動を積極的にやることが、いずれ野球界にもプラスに返ってくると思うんです。野球に興味を持ってくれる人が増えたり、野球やってみたいなと思う子どもが増えたり。だから、やらないよりやったほうがいいと思うし、僕自身も支援活動を行うことを大事にする人であり続けたいですね。夢を与えられる選手でありたいと思います。

――最後に、西選手が今関心を抱いている社会問題はどんなことでしょうか。

西 日本財団の子どもサポートプロジェクトを支援するようになって知ったんですけど、これだけ安全に暮らせる日本にも、1日3食食べられない子がいるんですよね。当たり前に誰でも食事ができると思っていたので、それが当たり前じゃないと知った時は本当に衝撃でした。食べ物の寄付というのはなかなか難しいので、何ができるかなとちょうどスタッフとここ一週間くらいで話していたところだったんです。18歳になるまではまわりの大人がサポートする環境も必要なので、僕自身にできることを見つけて行動を起こしていきたいなと思っています。

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